バラマキ政策の「デジタルウォレット」、国民の3分の2が「実施すべき」

【タイ】タイ国立開発行政研究院(NIDA)が実施した、「デジタルウォレット第3フェーズ中止(延期)」に関する世論調査の結果で、年内および翌年以降への持ち越しを合わせ、国民の3分の2が「実施」を希望していることが分かった。 同調査は5月7日から8日にかけて、全国の18歳以上の回答者1310人を対象に実施された。

 デジタルウォレットは、タイ政府が国民に対して1人当たり1万バーツを支給するというバラマキ政策。第3フェーズは年間所得84万バーツ未満、預金50万バーツ未満の16歳から59歳までタイ国民を対象に、今年第2四半期に実施されるはずだった。

 しかし、治水、交通・物流プロジェクト、中小企業向け低利融資、観光促進、米関税対応などが盛り込まれた景気刺激策に予算1570億バーツ(7000億円相当)が丸々転用されることになり、第3フェーズは「延期」となった。タイの多くのメディアが「中止」もしくは「無期延期」と報道。NIDAの世論調査も「中止(廃止)」という表現している。

 デジタルウォレットは2024年より、第1フェーズとして国民福祉カード(貧困者カード)を所持する1240万人および障害者250万人を対象に、第2フェーズとして高齢者約400万人を対象に、それぞれ実施された。

 「第3フェーズ」の実施については、
・年内に実施すべき:57%
・中止すべき:34%
・2026年に持ち越すべき:8%
・2027年に持ち越すべき:1%
との回答が得られた。

 統計ではまた、タイ政府から発表されていない「第4フェーズ」についての質問もあった。
・実施すべき:63%
・2026年まで延期すべき:8%
・2027年まで延期すべき:2%
・止めるべき:23%
となり、フェーズに関わらず「一度始めたならずっと続けるべき」という要望が明らかとなった。

 一方、国民による経済低迷の実感とさらなる悪化の予想も見て取れた。「デジタルウォレットが中止(廃止)されたら」という質問では
・怒らない:54%
・非常に怒る15%
・怒る:17%
・少し怒る13%
との回答が得られた。

  「タイが現在、経済危機に直面しているか」との質問には、
・緊急の解決策を必要とする:84%
・危機に陥っているものの緊急対策は不要:10%
・深刻な危機ではない:4%
・危機的状況では全くない:2%
という回答になった。

 「政府からの緊急支援が必要か」との質問には、
・至急必要:47%
・至急ではないが必要:16%
・自分で対処できる:30%
・不要:8%
との回答だった。

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