【タイ】タイ政府は5月20日の閣議で、景気刺激策のための予算1570億バーツ(7000億円相当)を承認した。バラマキ政策「デジタルウォレット」第3フェーズを断念、同予算を転用する。
景気刺激策には治水、交通・物流プロジェクト、中小企業向け低利融資、観光促進などのほか、米関税対応が盛り込まれている。米政府との交渉が期待どおりに進まず、「このままでは本当に(米政府が示した)36%を課されることになる」と書き立てるメディアもあり、「いずれにしても今年後半からの高関税の影響は不可避」と見る向きが多い。
国民に対して1人当たり1万バーツを支給する「デジタルウォレット」第3フェーズは、今年第2四半期内に実施されるはずだったが、閣議前日の19日に開かれた経済関連会議で断念が決定した。もともと、タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)やタイ中央銀行(BOT)から見直しを迫られていた。
ペートーンターン首相はデジタルウォレットに関して「中止ではなく延期」と説明しているが、一部のメディアは「無期延期」と報じている。