【タイ】親タクシン派だったジャトゥポーン・プロムパン氏と、反タクシン派急先鋒のソンティ・リムトーンクン氏が和解し、今後の反タクシン運動での共闘を約束した。バンコク都内のタマサート大学で5月25日に開催された、ソンティ氏の討論会にジャトゥポーン氏が出席し、2人は壇上で抱き合った。
ジャトゥポーン氏は、反独裁民主戦線(UDD)の1リーダーとしてタクシン・チナワット元首相を擁護し、アピシット政権(2010年当時)を打倒すべく赤シャツ暴動を率いた。暴動後は投獄され、後に親タクシン派政権が発足すると釈放されて政治活動を再開。反タクシン派が政権を取り返すと再び投獄されるなど、タクシン元首相の存在に振り回された。赤シャツ暴動は91人の死者と1400人以上の負傷者を出している。
ソンティ氏は、タイ字紙プージャトゥカーン(マネジャー)を立ち上げるなど、タイのメディア界で知られた存在。2005年から反タクシン運動を続け、集会での話の上手さから支持者を増やし、2006年のクーデターを導いた。その後の度重なる集会でスワンナプーム空港とドーンムアン空港を占拠するという暴挙に出て、やはり数年の投獄生活を送っている。タクシン元首相は2006年のクーデター勃発によって外遊から帰国できず、国外逃亡を続けることになった。
ジャトゥポーン氏は今回、タクシン元首相が自らの罪を認めたにも関わらず、逃亡生活から戻ってきても常に投獄から逃げ回っていると非難。特権階級を駆使し、ダブルスタンダードを作り上げているとした。そのような不条理が通用するタイは今、制度と国民を守りつつ再出発しなければならないと訴えている。同氏はまた、ペートーンターン政権が強引に押し進める「カジノ法案(複合娯楽施設法案)」にも反対している。
タクシン元首相は禁固8年を言い渡され、帰国後すぐに収監されるはずだったが、持病を訴えて帰国当日に警察病院に移された。汚職取締委員会が現在、「仮病」を疑って調査を続けている。
ソンティ氏(右)とジャトゥポーン氏(左) 写真:ソンティ氏のフェイスブックคุยทุกเรื่องกับสนธิより