【タイ】タイ法務省特捜局(DSI)が6月4日に明らかにしたところによると、3月28日の地震で倒壊したバンコク都チャトゥチャック区内の「タイ会計検査院(SAO)」新本部ビル(当時建設中)を巡り、入札時の談合に関わった疑いで役人および工事関係者のおよそ70人の名前が挙げられている。
モンティエン・チャルンポンSAO院長の談合関与についてメディアから問われたスラウット・ランサイDSI副局長は、「全ての人物の名前が挙がっている」と答え、暗にSAOトップ自らの汚職関与をほのめかした。
SAOはそもそも政府機関の監査、公共プロジェクト監視、汚職防止、政策評価といった、政府の中でも絶対的な権限を持つ機関。「SAO自体が(ビル倒壊を引き起こしたであろう)不正に気付かないのはおかしい」といった批判にモンティエン院長は、「SAO批判は不当」「ビル倒壊で夢も砕けた」などと発言し、「被災者・犠牲者への配慮が皆無」と批判を浴びた。
DSIは、「談合疑惑は設計契約が見直された2009年まで遡った」と説明。入札プロセス当初より「PN Synchronize」「KP Consultants and Management」「W. And Associates Consultants」といった建設コンサル会社が応札できるよう、仕組まれていたという。3社はいずれも、代表者が5月15日に逮捕されている。また、これら建設コンサル会社が建築確認検査を一度も実施していなかったことが押収した書類から明らかになっており、DSIは「未検査が倒壊の一因」とみなしている。
談合か否かについては、DSIではなくタイ汚職取締委員会(NACC)が判断することになり、DSIからの報告を精査中だという。