【タイ】タイのメディアが報じるところによると、100億バーツ(430億円相当)超の賠償を命じられたインラック・チナワット首相が支払いに従わない場合、資産から没収される可能性がある。没収されれば、兄のタクシン元首相に続いてタイ歴代首相で4人目となる。
インラック元首相は5月22日、在任中のコメ買い取り制度で国に巨額の損失を与えたとし、100億3000万バーツの支払いをタイ最高行政裁判所から命じられた。ただこれは、財務省による支払い命令が「行政命令」であり、被告側のそれに従う「義務」を明確にしたもので、命令は行政裁判所ではなく原告側(財務省)が行う必要があるとされる。賠償金が支払われない場合、資産差し押さえや競売が可能となる。さらに、被告側が「行政命令は不当」と主張する場合、行政裁判所に訴えることができる。
タイで資産を没収された首相は、第13・15代(10人目)タノーム・キッティカチョーン元首相(不正蓄財)、第14代(11人目)サリット・タナラット元首相(不正蓄財)、第31代(23人目)タクシン元首相の3人。タクシン元首相は、在任中に自ら立ち上げた政策を一族のビジネスに利用して760億バーツを超える不当な利益を得たなどとして、460億バーツ超の資産を没収されている。