【タイ】タイの各メディアの報道によると、タイ政府が指示した1月25日からのバンコク首都圏の都市鉄道と路線バスの無料化に対して、一部で批判の声が挙がっている。地方政治家、大学教授、学者などが「税金の無駄遣い」といったコメントをSNSなどで発信している。
タイ政府はバンコクでの大気汚染の著しい悪化を受け、BTS(高架鉄道)、同ゴールドライン、バンコク地下鉄(MRT)、同パープルライン、バンコク都内の路線バス(BMTA)の運賃を無料とするよう、関係機関に指示した。公共交通機関の利用を促して(大気汚染の一因となる)排気ガスを排出する自動車の利用を減らす試みで、中央予算からの1億4000万バーツ(6億5000万円相当)の拠出が発表された。運輸省鉄道局は、初日の25日土曜日の利用客が、過去3回の土曜日の平均人数より45%多い163万人に達したと、効果をアピールしている。
これに対し、地方政治家からは「中央予算とはいえ全国民から集めた税金。これをバンコクだけに使っている」「電車の利用が増えたら車の利用が減るという確証はない」、大学教授からは「1億4000万バーツで空気洗浄機を購入し、全国の学校に配布した方がよっぽど効果的」、海洋生物学者からは「大気の状況などいくらでも予測できる。予防策が何も講じられていない」といった批判が挙がった。
今回の運賃無料化は1月31日までの予定。スリヤ・ジュンルンルアンキット副首相兼運輸相によると、効果があると判断された場合は継続が検討される。