タイ政府観光庁、長距離市場の年間予測を1000万人に下方修正 中東情勢が影響

【タイ】タイ政府観光庁(TAT)は、今年の欧州・アメリカ・中東・アフリカなどの長距離市場からの訪タイ客数の見通しを1000万人に引き下げた。前年並みの水準で、中東情勢の悪化による航空便の混乱が主因としている。

 ジラワディー・クンサップTAT副総裁によると、当初は1100万人を見込んでいたものの、過去3カ月の運航混乱を受けて予測を修正した。2025年の長距離市場は前年比10%増の1080万人で、6850億バーツ(3兆4000億円相当)を生み出している。

 6月7日時点の長距離客はおよそ500万人で、前年同期比1.6%減。中東地域からの訪問客が32%減と大幅に落ち込んでいるが、欧州およびアメリカは堅調で、全体では大きな減少に至っていない。

 ジラワディー副総裁は、長距離市場は依然として底堅く、航空会社との連携強化による直行便の拡充が需要を支えていると説明。単一のハブに依存しない路線戦略により、カザフスタン(8.3%増)、ウズベキスタン(28%増)、ポーランド(16.8%増)など新興市場の伸びが顕著だという。

 第3四半期(雨期、ローシーズン)は旅行者が自国・欧州域内にとどまる傾向が強く、世界的な旅行マインドの改善を見極める「様子見姿勢」が続く見通し。一方、第4四半期は高級ホテル(4〜5つ星)の予約状況から回復が期待される。

 長距離市場は短距離市場に比べて価格に敏感ではなく、競合の中国やベトナムが同等の旅行商品を安価に提供していても、タイでの「質の高い休暇」を求める旅行者が多いとみている。タイの5つ星ホテルは1泊7000バーツ前後で、中国やベトナムの3000バーツと比べると高いが、需要は堅調だという。

 中東市場については、航空会社や旅行代理店との協議で回復の兆しがみられ、来冬にはクラビーやプーケットへの便の再開が予定されている。TATは「タイは東南アジアで最も選ばれる旅行先であり、需要は引き続き強い」としている。

 また、トルコ航空を活用したトルコ経由の欧州市場、韓国やエバー航空を通じた北アジア経由のアメリア市場など、長距離トランジット拠点の活用を強化。フランスのリヨンやボルドーなど成熟市場の地方都市からの直行便の誘致も進めている。

 今後の新規路線としては、LOTポーランド航空のワルシャワ~バンコク線(10月開始)や、スカンジナビア航空の冬季クラビー便などが予定されている。

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ジラワディーTAT副総裁 写真:TATフェイスブックより

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