【タイ】ウィークエンドマーケット(チャトゥチャック市場)の一部区画からの立ち退き要請で、テナント529店から裁判に訴えられたバンコク都庁(BMA)市場事務所は2月26日、BMAホームページにこれまでの事情や経緯の説明を掲載した。立ち退き期限の4月30日に変更はないもよう。
問題となっているのは時計台周辺のセクション30の露店スペースで、市場事務所が計529店に対して4月30日までの立ち退きを要請している。同事務所はBMAのホームページで、「2011~2018年の1店当たりのテナント料は、地主であるタイ国鉄との直接のやり取りで月3127バーツだった」「BMAが管理を代行してからは常設店舗が同1800バーツ、(訴えを起こしたテナントの)テント露店が同1400バーツ、植木露店が同900バーツまで下がった」「都からタイ国鉄への地代は年間1億6900万バーツ」「コロナ禍の数年は家賃集金を見合わせており、(問題となっている)セクション30からのテナント料も数百万バーツ減少した」「裁判に訴え出た529店は毎年支払っていたと主張しているが、うち122店は滞納している」などと説明し、「(立ち退き要請の根拠となる)契約終了と再開発は以前からの計画」と主張した。
市場事務局は当初、「過去5年間テナント料が支払われずに都としての収入が皆無、用地は再開発される計画となった」とテナントに告げて契約更新を拒否。それを受けてテナントが「(指摘のあった)2019年から2024年まで月額1400バーツの賃料と500バーツの共益費を払っていた」と反論し、BMA内でテナント料が横領されて誤った計画がなされた可能性があるとして裁判に訴えていた。市場事務局は先週も自らの潔白と正当性を主張していたが、汚職が疑われた「収入が皆無」という発言については触れず、「領収書を開示できる」と述べるにとどめている。
セクション30はもともと歩道だった場所にテント露店が立てられており、歩道の幅が19メートルから9メートルまで狭まって歩きにくく、両わきの店舗が目立たなくなっている。また、空気が悪いという苦情も寄せられているという。市場事務所は4月30日までの立ち退きを改めて要請、ほかのセクションへの引っ越しを提案している。市場全体の店舗数は1万334店で、およそ20%にあたる2028店が空いているという。
立ち退き後は歩道を再び広げ、風通しの良い歩きやすい歩道に戻す予定。時計台を中心とする、美しくデザインされた「新たなランドマーク」の開発を目指す計画だという。