タクシン元首相と次女の首相候補、タイ国外で面談

【タイ】タクシン・チナワット元首相(73)の次女でタクシン派野党プアタイ党の首相候補であるペートーンターン・チナワット氏(36)は25日、インスタグラムへの投稿で、タイを出国し、タクシン元首相、元首相の妹のインラク前首相(55)と会ったことを明らかにした。場所は明らかにしていない。タクシン元首相とインラク前首相はそれぞれ2006年、2014年の軍事クーデターで追放され、事実上の国外亡命生活を送っている。

 プアタイ党は14日のタイ議会下院(定数500)総選挙で141議席の2位となり、151議席を獲得した革新派野党ガウクライ党(ムーブフォワード党)と連立交渉を行っている。交渉の中で、ガウクライは首相のほか、選挙公約実現のため不可欠として国会議長(下院議長)ポストも要求。プアタイの一部幹部はガウクライが行政府と立法府のトップを抑えるのは行き過ぎだと反発し、ガウクライとの連立交渉から離脱して自党を中心とする連立政権樹立を目指すべきと主張している。

 両党は小政党6党と連立政権を樹立する構えだが、合計の議席数は310議席程度。首相指名選挙にはプラユット軍事政権(2014~2019年)が議員を選任した非民選で王党派の議会上院(定数250)も投票するため、政権樹立にはあと70議席足りない計算だ。

 こうした状況から、ガウクライが多数派工作に失敗し、プアタイが与党陣営のプームジャイタイ党、パランプラチャーラット党などと組み政権を発足させるという憶測も出ている。プームジャイタイとパランプラチャーラットには元々プアタイに所属していた政治家が多く、3党は手を組みやすいとされる。プアタイ連立政権が実現すれば、王党派と軍はガウクライによる急進的な政策転換を阻止でき、プアタイは党の実質的なオーナーであるタクシン元首相の帰国を王党派の協力を得て実現させることを目指すとみられる。

ペートーンターン氏(写真提供、プアタイ党)

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