【再録・タイ人あるある恐怖体験】⑩ 典型的な金縛り

♂ 19歳 ウッタラディット出身バンコク在住

 僕は小さい頃から金縛りによく遭う。金縛りといっても、体がただ単に思うように動かない夢のようなもので、踏ん張って体を動かせば夢から覚める。みんなが思うような幽霊が足先に立っていたり、枕元から女の人がのぞき込んでいたりするような金縛りに遭ったことはない。

 でもある夜、僕は見てしまったのだ。その日、いつものように眠りについて、いつものように金縛りにあった。そしていつものとおり踏ん張って体を動かす。金縛りが解かれて寝直したが、また金縛り。また頑張って金縛りを解く。だけどまた金縛り。その後も何回も金縛りにあっては解く、の繰り返しだった。

 しかもだんだんと変な音が聞こえてきた。

「カッカッカッ」

と耳元で誰かが歯を鳴らしているような音。金縛りにうんざりした僕はいったん起きて、寝る前に途中で止めた韓国ドラマの続きを観ることにした。それをまるまる一話観終わって、ようやく寝ることに。

 もう大丈夫だろうと思って眠りに付いたが、また金縛りあった。しかも今度は、歯を鳴らしているような変な音が耳元で鳴っていた。目を開けるとそこに女の人が僕の顔を覗き込んでいた。黒くて長い髪が僕の頬に当たる。目の前の光景に恐怖はあったが、眠気と苛立ちが勝ち、

「お願いだからやめくれ! 寝かせろ!」

と幽霊に向かって怒鳴った。

 それ以降は、その女の幽霊も見なくなったし、金縛りの回数も減った。

再録:過去に掲載して人気が高かったコラムを再アップしています。

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