不敬罪改正は憲法違反、タイ憲法裁が訴え受理 民主派窮地に

【タイ】タイの公共放送タイPBSなどによると、タイ憲法裁判所は12日、5月14日の議会下院(定数500)総選挙で第1党となった革新系民主派のガウクライ党(ムーブフォワード党)が掲げる不敬罪の改正・廃止が憲法違反に当たるとした王党派弁護士の訴えを受理した。

 訴えでは、不敬罪の改正・廃止は「国王を元首とする民主主義」の打倒を図る企てで、憲法49条に違反するとしている。憲法裁は訴えを受理し、ガウクライ党と同党のピター党首に対し、15日以内に答弁書を提出するよう命じた。憲法違反が認定された場合、ガウクライ党は解党され、ピター党首ら党役員は参政権停止処分を受ける見通し。

 憲法裁は同日、ピター党首がメディア会社の株式を国会議員が所有することを禁じる憲法規定に違反したとするタイ選挙委員会の告発も受理した。

 ピター党首は13日に国会で行われる首相指名選挙に民主派8党の候補として出馬する予定だった。民主派と対立する王党派の影響下にあるとされる憲法裁が首相指名選挙前日にガウクライ党に対する訴えを相次いで受理したことで、民主派、王党派の対立が鮮明になった。

 憲法裁は民選政権であるタクシン政権が2006年の軍事クーデターで崩壊して以来、タクシン派政党を2度、2020年にはガウクライ党の前身である新未来党を解党するなど、ほぼ一貫してタクシン派、民主派に不利な判決を下し続けている。同じく王党派の影響下にあるとされる軍は2014年にも軍事クーデターを起こしてタクシン派の民選政権を倒し、軍事政権を樹立した。

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