【タイ】バンコク北郊ノンタブリー県の学校で8月7日に発生した生徒による銃乱射事件を受け、アヌティン・チャーンウィーラクーン首相は銃規制の抜本的強化と学校の安全基準の策定を指示した。政府4省が再発防止に向けた「全国学校安全基準」を90日以内に策定すると発表した。
アヌティン首相は、公共の場、車内、自宅外で正当な職務理由なく銃を所持していた場合は厳罰を科す方針を示し、全国での検問と抜き打ち検査を優先課題とした。登録銃が第三者に使用された場合、使用者だけでなく登録名義人も共犯として責任を負うとし、盗難を理由とした責任逃れはできないと述べた。銃が保管場所から持ち出された場合、所有者が直ちに警察に届け出る義務があるともした。
タイのメディアが報じるところによると、国内には推計400万丁の違法銃器が流通しているとされ、政府もその問題を認めている。過去には未登録銃の自主返納といった恩赦制度が検討されたことがあったが、アヌティン首相は「違法銃は合法になり得ない」とし、押収を徹底する姿勢を示している。
一方、事件を受けて教育省、社会開発人間安全保障省、高等教育科学研究革新省、労働省の4省が、再発防止に向けた「全国学校安全基準」を90日以内に策定し、閣議に提出する方針を固めた。基準は児童生徒と教職員の定期的なメンタルヘルス検査、リスクの高い生徒の専門医への確実な紹介体制、教員向けの心理的応急処置研修を柱とする。
学校の弱点を洗い出すため、CCTVの点検や校門での違法物品チェック、緊急時の避難訓練も義務化する。いじめを一切容認しない「Zero Tolerance」方針を導入し、児童が悩みを匿名で相談できる「Safe Zone」や通報窓口も設ける。事件が起きた教室は永久閉鎖とし、心理的影響が大きい児童生徒や教員は他校への転校を認める。
教育省は、死亡した教員の遺族への支援を行い、殉職として特別昇格も検討する。事件後の授業再開初日には国際基準に沿った心理回復プログラムを実施し、必要に応じて保健省精神衛生局ホットライン「1323」や地域の心理士と連携した支援を行う。
ノンタブリー県バーンクルアイ郡のテープシリン・ノンタブリー校で8月7日午前、中3男子生徒(15)を容疑者とする銃乱射事件が発生した。8月9日時点で教師4人、女子生徒(12)、容疑者、自宅で撃たれた祖父母2人の計8人が死亡、けが人は重体7人を含む30人超。動機はいじめが疑われているが、警察は未確定としている。
アヌティン首相は事件に関し、「事実確認を急いで憶測で不安を広げてはならない」と述べ、関係機関が連携して違法行為の取り締まりと学校の安全確保に全力を挙げると強調した。けが人は保健省が治療に当たっており、重症者は適切なケアを受けているという。
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