タクシン元首相がタイ深南部を訪問、失政を認めて謝罪

【タイ】タクシン・チナワット元首相が2月23日、タイ深南部のパッターニー(パタニー)、ヤラー、ナラーティワートの3県を訪問した。首相在任中に激化した深南部テロについて、失政を認めて謝罪した。

 タイの一部メディアは、タクシン元首相が今回の深南部訪問で「歓迎を受けた」と報じているが、実際には訪問に合わせた死傷者を伴う爆破テロが2件発生しており、手放しの歓迎ではないことが伺えた。

 タイ深南部一帯の分離独立を大義名分とする一連のテロは激化と鎮静化を繰り返し、1990年代から2000年初頭にかけては一応の収まりを見せていた。タクシン首相がタイ全土で強行した対麻薬戦争で2003年12月に「勝利」が宣言され、直後の2004年1月にタイ深南部テロが再発。「深南部の麻薬利権に手を出して失敗した」とささやかれた。一連のテロは独立独立運動やイスラムテロなどと報じられているが、麻薬密売などの単なる利権争いともみられている。

 タクシン元首相は今回、特に多数の死傷者を出した2004年4月28日発生のパッターニー県でのクルセモスク事件(32人死亡)や、同10月25日発生のナラーティワート県でのタークバイ事件(少なくとも85人死亡)について謝罪し、自らの政策が間違っていたと認めた。「平和を取り戻したかった」とも付け加えたという。

 クルセモスク事件では、モスクに立てこもって逃げ場を失った武装集団を、陸軍が一斉射撃で全滅させている。タークバイ事件では、警察や海軍が逮捕したデモ参加者をトラックの荷台に詰め込んで窒息死させ、タクシン元首相は「ラマダン(断食)の最中で腹が減っていたからすぐに死んだ」と言って非難を浴びた。

 タクシン元首相はまた、現在(世界的にテロが増える)ラマダン中であることから、「テロは控えてほしい」と訴えたという。しかし当日すでに、ヤラー県バンナンサター郡のスーパーマーケット前に仕掛けられた爆発物が爆発、民間人1人死亡、警官ら7人が負傷。さらに、同首相のナラーティワート空港到着の直前に、治安当局が空港内に停めたピックアップトラックの荷台に爆発物が仕掛けられて爆発している。2件のテロは同首相を威嚇したものと報じられた。

事件直後のクルセ・モスク 写真:newsclip

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