【タイ・中国】タイ英字紙バンコクポストが伝えるところによると、「今年のソンクラーン(タイ正月、水かけ祭り)は中国で過ごす」というタイ人が増えている。中国人向けに売れなくなったタイ中路線の航空券が、タイ人向けに割り引いて売り直され、今年に入って増加傾向にあった中国旅行にうまく合致したという。
タイは今年、「観光とスポーツの年」としてさまざまな観光イベントを企画。「タイ中国交樹立50周年」にもあたることから、相当数の中国人旅行者を見込んでいた。しかし、1月にタイ・ミャンマー国境で中国人を巻き込む国際犯罪が発生し、中国人は早々に減少。旧正月(春節)でも回復せずに伸び悩み、3月の地震発生で今後のさらなる「タイ離れ」が危ぶまれている。
そのような状況の中、中国の旅行代理店が大量に押さえて結局は売れ残った航空券が、中国行き航空券として売り直された。半額まで下げての投げ売りもあったという。タイ旅行代理店協会(ATTA)はバンコクポストに、「航空券1枚あたり3000~5000バーツの損失が出るが、売らなかったら損失は1万バーツになる」と語っている。
ただ、「けがの功名」もあり、タイ人の中国旅行という需要が見えてきたという。ソンクラーンというタイ人にとってのハイシーズンに、航空券が安く出回ったことで弾みがついた。
タイ人は中国を「交通の便が良く安全な国」と評価しており、訪れやすい旅行先だという。中国へのパッケージツアーは平均1万5000バーツ、日本へのそれは最低でも3万バーツで、旅費的にも中国は魅力的。「昨年は訪日タイ人が100万人を超えたが、今年は訪中が上回るかも知れない」(ATTA)という期待さえある。