〈タイ業界事情〉タイの地で進化を続けるERPシステム-2 BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.

難波 孝次 氏 Managing Director

担当者が交代しても後任がすぐに把握

 弊社のお客様がERPシステムをご導入いただく主な目的として、「管理作業の省力化による社内処理のスピードアップ」「管理データの一元化」「それに伴うデータ品質の向上」などがあるが、そのほかにも、社内業務の標準化を挙げられるお客様もいらっしゃる。

 多くは、タイの地での社員さんの離職率が非常に高いことが導入のきっかけだ。「せっかく仕事を覚えてもらったのにすぐに辞めてしまった」「今まで1人の担当者に任せていた業務が、突然の退職で誰もその内容を知らずに大変困った」というような話は日常的に耳にする。ERPシステムの導入は、担当者が代わっても今までと同じ業務が行えるようにしておくことが目的だ。

 ただ実現には、クリアしなければならないハードルがいろいろ存在する。一つは、「ERPシステムを標準機能のままで導入してそのまま問題なく使用できるのか」という点だ。昨今、取引先との受発注データの受け渡しにEDIシステムを使用するケースが多い。しかし、それに使用される電子データのフォーマットが千差万別なのが実情だ。

 データを自社システムに取り込むためにはまず、システムそのものをカスタマイズするか、担当者が手動でデータ加工を行う必要がある。後者の場合、作業自体が担当者に依存されるため、「担当者が代わった際に発生する問題」は依然として残ったままだ。弊社ではこういった場合、半オーダーメイド方式にてシステム側にカスタマイズを加える形で対応させていただいている。

 もう一つの重要な問題は、システム自体の使い勝手だ。特にパッケージシステムになると、さまざまな業種形態のお客様にご使用いただくため、当初より膨大な機能が盛り込まれている。お客様によっては「標準機能の一部分しか使用していない」ということも多く、数ある機能の中から必要機能に行き着くまでの操作方法が必然的に複雑となる。すなわち、システムのオペレーションに慣れるまでに時間がかかり、結局はそれが問題となってくる。

 「使い勝手」についてはいろいろなケースが存在する。例えば、「担当者Aと担当者Bで業務や権限が異なる」となると、一般的なシステムでは「ユーザーIDごとに使用機能や権限を設定」して対応するケースが多い。ところが実際にはもっと複雑で、「Aは朝一INVOICE発行の、午後からは受注データの、それぞれの入力画面を使用する」、一方で「Bは夕方に承認作業のみ」、さらに「Cは毎月20日以降に支払いの入力画面を使用する」など、担当者によってサイクルはさまざまだ。

 こういった各人の異なる使用サイクルをシステム側で管理することが可能か否か、となると答えは「難しくない」となる。朝の始業時間になるとAのメールアドレスにシステムから自動的にINVOICE発行画面のリンクが張られたメールが届き、昼一番には受注データ入力画面のリンクが張られたメールが届く、また夕方になると承認待ちのINVOICE情報がBのメールアドレスに届く、といった仕組みを作り上げることになる。

 問題はシステムの作り込みではなく、そのような細かい設定を社内の誰が行うのか、という点だ。設定担当者が突然いなくなってしまえば結局、元の木阿弥なのではないか? という当初の設問に舞い戻る。

学習機能を持たせたERPシステム

 その問題に対する答えが「学習機能を持ったシステム」だ。最近IT(情報技術)関連のニュース記事で、AI(人工知能)の話題が取り挙げられることが多い。人工知能とはなんぞや? と問われれば、誤解を恐れずお答えすると、「学習機能を持ったシステム」となる。厳密にはもちろん、人工知能にもさまざまなレベルが存在する。

 ここで説明させていただくのは、比較的簡単に実現可能なレベルのものだ。従来であれば前述のようなさまざまなパラメータの登録が必要となるシステムでも、学習機能を付けることによってシステム内に蓄積されたオペレーション履歴を元に、人の手を介さずとも自動で設定を行うことが出来る。もちろん、実際のシステム運用というものは、それほど単純なものではない。このような学習機能方式だと最適化されるまで時間がかかる、という欠点もある。より短時間で完璧な形を求めるのであれば、自動設定された内容に対して手動で調整していくという手順を踏むことも可能だ。

 上記は学習機能を持たせたシステムのごく一例だが、膨大なパラメータの設定が必要となる生産スケジューリング作成の機能にも応用することが出来る。会計仕訳を自動的にパターン化することによって、入力ミスの防止や入力作業の省力化に役立てることも可能だ。

 今後のERPシステムとしてあらゆる方向に発展性を持たせた機能であるといえる。

BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
住所:333 Lao Peng Nguan Tower 1, 17th Floor, Unit B1, SoiChaypuang,
Viphavadi-Rangsit Road, Chomphol, Chatuchak, Bangkok 10900
電話:0-2618-8310-1 ファクス:0-2618-8312 Eメール:toki@ksc.th.com
ウェブサイト:www.bkktoki.com

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