タイの経常赤字6000億バーツ、エネルギー依存の脆弱性を露呈 財務相が警鐘

【タイ】エークニティ・ニティタンプラパート副首相兼財務相は、2026年第2四半期に計上された6000億バーツ(2兆8000億円相当)の経常赤字が、輸入原油への過度な依存による構造的な弱点を浮き彫りにしたと警告した。「イランをめぐる情勢は転換点であり、エネルギー価格の危機が繰り返されるのを待つ余裕はない」と述べ、エネルギー転換の加速が不可欠だと強調した。

 国家経済社会開発委員会(NESDC)が公表した統計によると、第2四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比1.9%増と、第1四半期の2.8%から減速。経常収支は176億米ドルの赤字となり、GDP比で12%を超えた。8四半期ぶりの赤字で、前期の14億米ドルの黒字から大きく転じた。

 同相は、この赤字が「タイ経済の脆弱性を示す新たな指標」だと述べ、特に中東産原油への依存が輸送部門を中心に依然として大きいことが、国際原油価格の変動に対する耐性を弱めていると指摘。輸入コストの上昇は経済安定に直結するため、リスクは深刻だという。

政府は、太陽光発電の普及、送電網の整備、蓄電システム、電気自動車(EV)など、将来の基盤となる事業への投資を急いでいる。公共交通のEV化も加速させる考えで、今週中にも事業者との協議を行い、目標や予算案を詰める。これらの事業には、エネルギー危機対応とエネルギー転換支援を目的に財務省の借入を認めた緊急政令の第2計画として、2000億バーツの資金が充てられる。

 エークニティ副首相は、今回の借り入れを一時的な歳出と捉えるべきではないとし、国内のエネルギー生産・管理能力を高め、燃料輸入を減らし、国際エネルギー価格の変動による影響を抑えることが目的だと説明。さらに、民間の新規投資の基盤づくりにもつながると述べた。

 これらの投資が構造改革を後押しする「Jump Start」となり、短期的な景気対策にとどまらず、中長期の利益を生み出すと強調。「すべてを一度に変えられるわけではないが、エネルギー転換の推進、電力・輸送コストの負担軽減、国内産業の支援という三つの目標に向けた確かな第一歩となる」と述べた。

●タイの2026年4〜6月期GDP、1.9%増 通年見通しは2.2%

エークニティ副首相 写真:財務省

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