タイ政府、都市鉄道の運賃一元化と共通チケット導入を加速 将来的には事業買い戻しへ

【タイ】ピパット・ラチャキットプラカーン副首相兼運輸相は、政府が進めるバンコク都市鉄道の運賃体系の統一と共通チケット制度の実現に向け、5月にも高架鉄道(BTS)を運営する大量輸送システム社(BTSC)および地下鉄(MRT)を運営するバンコク・エクスプレスウェイ・アンド・メトロ(BEM)との間で、鉄道事業の買い戻し交渉を開始すると明らかにした。

 都市鉄道の運賃統一は過去のペートーンターン政権で進められていたが、法整備が間に合わないうちに政権交代となっていた。ピパット副首相によると、「鉄道運輸法(2025年)」と「共通チケット管理法(2025年)」の2法案はすでに上院を通過し、現在は関連する下位規則の策定段階に入っている。6月までに終える見通しで、作業が完了すれば閣議に提出される。

 BTS・BEMとの協議は、法整備と並行して5月に開始する。ピパット副首相は、「政府からの国民への『贈り物』としての最優先政策」と述べ、2027年1月1日から全路線で1日40バーツの共通運賃を導入する方針を示している。共通チケット制度はバスや船舶にも拡大する計画だという。ただ、タイの身分証明書を持たない外国人も対象となるかは不明。

 政府はその後、民間事業者が運営する各路線を国が段階的に買い戻し、全路線をタイ電車公社(MRTA)の一元管理下に置く「単一オーナー方式」への移行を進める。これによって全路線で共通の運賃体系を導入し、乗客がEMVコンタクトレスカード1枚で乗り継げる仕組みを整える。BTS買収に関してもペートーンターン政権で取りざたされたが、進展することはなかった。

 タイのメディアが運輸省関係者の話として報じるところによると、乗客の移動実態を踏まえた運賃モデルの検討が進んでおり、1回40分以内の移動なら1日40バーツ、40分を超える場合は追加20バーツで上限60バーツとする案が有力視されている。全路線で乗り継ぎ自由とし、毎年5バーツずつ運賃を調整して財政負担を抑える仕組みも検討されている。

 新運賃制度を実施するには、現在の民間とのPPP(官民連携)「ネットコスト方式」契約を見直し、運賃収入リスクを国が負う「グロスコスト方式」に転換する必要がある。現行契約では、民間が投資・運営し、運賃収入も民間が得る仕組みとなっている。

 また、国が巨額の現金を支払って買い戻す方式は採らず、契約内容を改定して国がコンセッション(事業権)を保有し、民間は従来どおり運行・保守を担う形となるもよう。民間事業者は新たな契約を金融機関からの借り入れの担保として利用でき、運行委託料も受け取ることができる。

 運輸省は、BTSとBEMが保有する既存の資産および運行・保守契約の価値を総額1400億バーツ(9000億円相当)超と試算している。

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バンコク高架鉄道(BTS) 写真:newsclip

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