【タイ】タイ政府は1月27日、スイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)への参加成果を発表した。タイが各国から信頼される「中立的なパートナー」として国際社会での存在感を高め、既存・新規案件を合わせて5000億バーツ(2兆5000億円)超の海外投資誘致につなげたと強調した。アヌティン・チャーンウィーラクーン首相が総括した。
ダボス会議は1月19~23日に開催され、エークニティ・ニティタンプラパート副首相兼財務相を団長とする「チーム・タイランド」が参加。スパジー・スタムパン商務相、シハサック・プアンケートケーオ外相らと共に、世界の政治・経済情勢や地政学リスクを踏まえた議論に加わった。今年のテーマは「対話の精神」で、国際的な分断が深まる中、協調の重要性が強調された。
アヌティン首相は、「国際緊張が高まる局面だからこそ、対立当事国とならないタイの立場を生かし、各国と幅広く対話しながら柔軟に対応する必要がある」と指摘。為替、投資、輸出を巡る民間の懸念を踏まえつつ、危機の中でも機会を見いだしてきたタイの強みを生かし、世界のサプライチェーンでの役割を高めていく考えを示した。
エークニティ財務相は、今回の成果を三つの柱で説明。第一に、タイの立ち位置を体系的に整理し、国際舞台で明確に発信した点を挙げた。地政学的対立が進む中、タイとアセアンが中立的な投資・貿易拠点となり得ることを示し、投資委員会(BOI)への投資申請額が過去最高の1兆8000億バーツ超と前年比6割以上増えた実績を紹介した。投資分野は先端農業、食品加工、電気自動車、スマート電子機器、データセンターなどが中心で、国連の最新報告ではタイがデータセンター投資誘致でアセアン首位、世界6位に位置付けられた。
第二に、国際機関や各国政府との関係強化を通じ、タイ経済への信頼を高めた点を強調。世界銀行総裁や国際通貨基金(IMF)専務理事、経済協力開発機構(OECD)事務総長らと会談し、今年10月にタイが世界銀行・IMF年次総会を主催することも確認。OECD加盟については、5年以内の実現を目標に支援を受けることで一致した。
第三に、具体的な投資誘致の成果として、デジタルや人工知能(AI)分野を中心に約30社の海外企業と協議し、既存・新規を合わせて5000億バーツ規模の投資意向を取り付けたとした。政府は投資と併せ、労働者の技能向上を図る人材育成プログラムへの協力も要請し、雇用と所得の底上げにつなげる方針。
今後の課題としては、将来の投資需要に対応するためのクリーンエネルギー供給体制の整備を挙げた。競争力強化と持続的な投資誘致に不可欠だと述べた。
スパジー商務相は、世界が単純な多極化から、より激しく複雑な分断へ移行していると指摘。貿易と安全保障が一体化する中、タイは中堅国として新市場や新たな貿易形態を開拓し、特定陣営に偏らない「信頼されるパートナー」としての立場を強める考えを示した。アセアンのデジタル経済枠組み協定(DEFA)を年内に妥結させる目標や、カナダとの自由貿易協定(FTA)交渉の加速、知的財産分野での国際協力も進める方針を明らかにした。
























