【タイ】ラマ10世(ワチラーロンコーン国王)がタイ下院解散勅令を発し、12月12日午前4時付の官報に掲載された。アヌティン・チャーンウィーラクーン首相は11日に、「国民に権力を戻したい」と自身のフェイスブックに投稿、解散の意向を示していた。
アヌティン首相は9月5日の首相指名投票で就任が決定、同月19日に閣僚名簿が官報に掲載され、内閣が発足した。3カ月足らずの短命で終わったものの、4カ月以内の解散や憲法改正に向けての国民投票の実施を条件に野党プラチャーチョン党からの支持を得たこともあり、ほぼ既定路線といえる。
タイの複数メディアが報じるところによると、今回の解散は憲法改正案をめぐる国会両院合同会議の混乱が背景にある。審議されていたのは憲法改正の採決基準を定める256/28条で、委員会の多数派は上下両院の単純過半数で可決できるよう基準緩和を提案していた。しかし合同会議はこれを退け、改憲には上院議員の3分の1以上の賛成を必要とするという従来要件の復活を決定した。採決は起立採決で行われ、正式な決定と見なされている。
憲法改正に向けた動き以外でも、プアタイ党やプラチャーチョン党が不信任案の提出をほのめかすといった圧力がアヌティン政権にかけられており、アヌティン首相は「少数与党では太刀打ちできない」とし、「それならば12月12日に解散」と公言していた。国王への勅令草案にも、少数与党としての政権維持の限界が記されていたもよう。
次期下院選は、選挙管理委員会が定める日程で45日以上60日以内に総選挙を実施される。
●タイ首相、12月12日の下院解散に言及 「少数与党では立ち行かない」
●タイ首相、不信任案提出なら下院解散の前倒しも 「野党のただ乗り攻撃は許さない」



















