侵略的外来種の「ブラックチンティラピア」、ナームプラーとして食卓に

【タイ】農業協同組合省水産局、法務省矯正局、タイ最大級の財閥CPグループ傘下の食品大手ジャルーン・ポーカパン・フーズ(CPF)が共同で、ブラックチンティラピアのナームプラー(魚醤)を開発中だ。年内に複数のブランド名で発売される見込みだという。

 ブラックチンティラピア(Blackchin tilapia、Sarotherodon melanotheron)は西アフリカ原産の外来種で、最近タイで急速に繁殖。ほかの魚、稚魚、たまご、エビなどを捕食し、「生態系バランスを崩す侵略的外来種」「タイ史上最悪の環境災害」として、問題視されている。今年3月には、政府の対応の遅さに業を煮やした漁業関係者が、腐ったブラックチンティラピアを首相府前にまき散らすというデモを起こした。タイ語では「プラー・モー・カーン・ダム(黒あごティラピア、ปลาหมอคางดำ)」と呼ばれる。

 ブラックチンティラピアを用いてのナームプラー造りは2024年から試作が続けられており、現在発酵中のナームプラーが年内にも商品化される。東部サムット・プラーカーン県、中部サムット・サーコーン県、サムット・ソンクラーム県、ペッチャブリー県の4県にパイロットとして製造工場が建てられ、各県が協力して計20トンのブラックチンティラピアを捕獲し、ナームプラー造りを開始した。

 作り手の中心は各県の刑務所4カ所の受刑者だという。関係者は、「外来種を駆除でき、消費者の食生活が豊かになり、受刑者が手に職を付けることができるなど、社会への幅広い貢献を可能とする」と述べている。また、自ら希望する地元の警察官とその家族も参加、将来的な副業にすべく造り方を学んでいるという。

 ナームプラー造りは、魚を徹底的に洗うことから始まる。魚と海塩を4対1の割合で使用、陶器(つぼ)の中に交互に重ねていき、満たされたらラップで密封して木のフタをし、ひもでしっかり結ぶ。発酵には1年かかるという。ブラックチンティラピアから造るナームプラーは「まろやかで香り高く」、家庭用・業務用の両方に適しているという。

 ブランド名は「ハップ・プーイ」。突き出し窓(跳ね上げ式窓)のほか、「軽犯罪者の主要施設」という意味もある。ハップ・プーイの後ろにそれぞれの地名が添えられ、複数ブランドとなる。

タイ首相府前に死んだ魚5トン 外来種撲滅訴え

サムット・サーコーン水産事務局สำนักงานประมงจังหวัดสมุทรสาครフェイスブックより

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