【タイ】政府は、工場の法令順守を確保するため、職員による定期検査のみという従来の方式から、生産量、廃棄物処理、水・電力使用量などの異常値を自動抽出し、リスクの高い工場を優先的に検出する新たな方式に移行した。工業省は今年に入ってからこれまでに、全国767工場で法令違反を確認した。
違反内容は、無許可操業、未処理排水の放流による水質汚染、排ガスの基準超過、産業廃棄物や化学物質の不法投棄、生産量と廃棄物処理量の不整合による虚偽申告の疑い、水・電力・原材料使用量の異常など、環境・安全・許認可に関わる重大な法令違反が中心だった。違反工場の53%がバンコク首都圏および東部経済回廊(EEC)に集中していた。767工場のうち131工場に操業停止命令、636工場に改善命令、391工場で法的措置がなされた。
新たな方式では、複数種のデータを分析して違法の疑いがある工場を絞り込む。生産量と整合しない産業廃棄物の処理状況、水や電力、原材料の使用量の不均衡、商取引上の不正の疑いなど複数のデータを組み合わせ、異常値が出た工場を自動検出する。異常が検出されると、工業省のデジタル監査プラットフォーム「i-Auditor」を通じて同省地方事務所に通知し、検査基準の設定、結果記録、電子報告までを一体的に行う。
法令を順守して設備投資を行う事業者が不正事業者に不利益を被らないよう、公正な競争環境の確保が重視されているという。「適法に運営する事業者の負担を増やす意図はなく、すべての工場が同じ基準で競争できる環境を整えることが目的」としている。データ分析とi-Auditorによって監督の精度と透明性が高まり、追跡も容易になるとした。
工業省は国民からの通報窓口アプリ「ジェーン・ウット(工業省通報)」も運用しており、場所、状況、日時、可能な範囲の証拠を添えて通報するよう呼びかけている。また、工場法の罰則強化、再犯歴の審査への活用、停止命令後の再開審査の義務化、産業廃棄物管理法案の策定など、関連法の改正も進めている。



























