【タイ】タイ・ホテル協会が国内会員に確認したところ、3月28日の地震で発生直後に外国人宿泊客の10%が(予定を切り上げて)早めにチェックアウトしていたことが分かった。チェックアウトしたものの行き場がなく、仕方なしに同じ宿泊施設に戻ってきた客もいたという。タイを出国する国際線の予約が地震後にどの程度増えたかは明らかになっていない。
英字紙バンコクポストがティアンプラシット・チャイヤパッタラーナン会長に電話取材したところによると、今後2週間の外国人入国者数はこれまでの10~15%あるいはそれ以上減少する見込みだ。外国人宿泊客の10%が地震発生直後にチェックアウトしたことで分かるとおり、多くの人が建物の安全性を疑っていると述べた。
タイ旅行代理店協会(ATTA)のアディット・チャイヤラッタナーノン事務局長も、「今のところチャーター便のキャンセルは見られず、団体などで早くから予定していた旅行は実行されるだろうが、個人客の予定変更は十分にあり得る」とし、今後2週間で結果が分かるだろうと話している。
ペートーンターン・チナワット首相が地震発生翌日にバンコク地下鉄(MRT)に自ら乗車してバンコクの交通機関の安全性を訴え、ソーラウォン・ティエントーン観光スポーツ相も国内ホテルや主要観光名所に対して検査を命じて安全性の確保が確認されたとアピールしていたが、信頼を得られているかは未知だ。
タイの観光業は、GDPの13~14%を占め、労働人口で5人に1人が携わる主要産業と評される。ペートーンターン首相は就任早々、(外貨獲得に直結する)観光業のテコ入れを表明し、2025年を観光とスポーツの年に指定して「Amazing Thailand Grand Tourism and Sports Year 2025」を企画。前年暮れに「Winter Festivals」を実施、現在は「Summer Festivals」を展開している。
Winter Festivalsは、当時人気だったカバの子ども「ムーデン」のプレゼンターとしての起用もあって成功。しかし今年に入って早々、タイ・ミャンマー国境の犯罪拠点の問題で、最も期待していた中国からの旅行者が激減、他国からの旅行者も引きずられるようにして足が遠のいた。そして今回、地震によるビル倒壊事故の発生で建物の安全性が疑われることとなり、「外国人はタイに来てくれない」という諦めムードがさらに強くなっている
タイ観光スポーツ省は今年、2025年の外国人入国者の目標値を4000万人に設定している。