【タイ】3月28日の地震発生によるバンコクでのビル倒壊事故を巡り、タイのネット界では怒りの矛先が中国系請負主に向いている。現時点で、中国系の請負主が設計施工の全般を請け負ったのか、工事のみだったのかといった詳細は不明だが、一部国民の中国批判が止まらない。
倒壊したビルは「タイ会計検査院(SAO)」の新本部ビルで、工事の請負主はタイのゼネコン大手イタリアンタイ・デベロップメント(ITD)とChina Railway No 10 (Thailand) Ltd.(CREC10)のJV(ジョイントベンチャー)の「ITD-CREC」。CREC10は2018年8月設立、資本金1億バーツで、親会社は中国の国営ゼネコンの「中鉄十局」。
そのCREC10のバンコク事務所を訪れたのが、「愛国者ナターシャ」を自称しタイ国内のさまざまな問題をSNSなどで提起するネット民の「CSI LA」。同フェイスブックにアップされたCREC10の写真は、タウンハウス程度の簡素な建物に、「CHAINA ~」という誤植の社名が掲げられていただけの事務所だった。CSI LAは、「中古アルミ店の様相だ。資本金の1億バーツ、(今回倒壊した)ビル建設費の21億バーツという事業規模には到底釣り合わない貧弱さで、人けもない」と投稿している。
タイのネット界では、「政府機関の支出を監査するSAOで不正がおこなわれている」「首相府予算庁と汚職取締委員会(NACC)がSAOを調べるべき」と、SAOの不正を疑う声も挙がっている。
CSI LAは2017年、当時のプラウィット・ウォンスワン副首相が2500万バーツ(当時で8000万円相当)の腕時計をはめていたことを写真で突き止めたことで一躍有名となった。タイの大手メディアは今でも、CSI LAを情報源のひとつとしている。プラウィット副首相はその後、25個の高級腕時計を持っていることが発覚、汚職取締委員会(NACC)の調査を受けた。
写真:CSI LA