【タイ】タイ旅行代理店協会(ATTA)のシッサディワット・チワラタナポーン会長がこのほど、政府が掲げる2025年の外国人入国者数3900万人達成は「難しい」という自らの予想を明らかにした。盛り上げの要となる中国からの旅行者が2月時点で早々と減り、治安に対する不安を払しょくさせられず、競合国にも押され気味といった理由を挙げている。
シッサディワット会長は、タイ・ミャンマー国境の犯罪拠点の問題が大きくなってきた1月中旬の時点で、「来たるべき旧正月(1月29日~)は当初の見込みより10~20%落ち込む」と、中国からの入国者の減少を言い当てた。実際には2025年2月単月で前年同月比45%減の37万1542人とほぼ半減。中国のみならず各国からの入国者も減り、全体で前年同月比7%減の311万9445人となり、前月1月の370万9102人にも満たなかった。
「今年は昨年実績の3555万人を上回っても目標値の3900万人達成は困難」とシッサディワット会長は述べ、中国からの入国者も「700万人は来てくれると思うが、コロナ禍前の2019年実績の1114万人には遠く及ばない」と諦めている。2025年の目標値は、タイ観光スポーツ省は4000万人と発表、ペートーンターン首相は3800万人と発言しており、定まっていない。
来タイ中国人の減少は、日本の人気が上昇していることも一因とみられており、シッサディワット会長も「2024年の訪日中国人は698万人、一方の来タイ中国人は673万人」と、具体的な人数に触れている。訪日外客数が発表された2月、タイの複数メディアが「(観光立国として)タイは王冠を失った」、「(中国人旅行者は)タイを無視した」と表現し、日本に負けたことを嘆く記事を掲載した。