【タイ】ペートーンターン・チナワット首相は今年、国内各県を訪問・視察していく。「全県のための首相になる」という自らの公約を実現するべく、各県で地域発展のための積極的な提案を行っていく意気込みだ。
1月9日には訪問先の南部プーケット島で、来タイ外国人旅行者の4分の1がプーケットを訪れているとし、「観光収益がより期待できる高級リゾートに発展させるため、政府はプーケットの開発に注力していきたい」と述べた。島内の慢性的な交通渋滞についても、進行中の道路拡張工事を加速させるよう関係機関に指示した。ほか、洪水対策やゴミ問題などに触れたという。
首相は12日に東北部ナコーン・パノム県を、14日は閣議終了後に中部ナコーン・サワン県をそれぞれ訪問。16日には南部に戻り、タイ最南端のパッターニー県、ヤラー県、ナラーティワート県を訪問する。ナラーティワート県ではマレーシア国境も視察する。2月16日から18日は、やはり南部のソンクラー県で移動閣議を開く予定。これら南部4県は、分離独立を大義名分とするテロが頻発する地域で、中央政府に反感を持つ住民が少なくない。
一方で、首相の父親であるタクシン・チナワット元首相が最近、地方選挙で積極的な応援演説を続けており、政界での影響力をさらに強めている。1月18~20日には東北部ナコーン・パノム県、マハーサラーカーム県、ノーンカーイ県、ブンカーン県を訪問する予定で、「父娘で連携」「娘は父親の操り人形」「二重首相」といった非難の声が、一部から挙がっている。