【タイ】タイ消費者協議会(TCC)は6月8日、詐欺広告の拡散を防ぐことなく、被害者保護や補償制度も整備していないとし、フェイスブックを運営する米Metaを相手取り提訴した。訴えはタイ法人と米国本社の双方が対象で、「1年以上にわたり改善を求めてきたが、実効的な対策が取られなかった」としている。
6月4日に開催した「Why sue Facebook?」という記者会見でTCCは、2024年から今年3月までに6164件のオンライン取引に関する苦情を受け、うち3793件以上がフェイスブック関連だったことを明かした。商品代金を支払っても届かない事例、投資詐欺などでの被害が、苦情の多数を占めたという。「被害者はデジタル知識の乏しい層に限らず、医師、教員、公務員、企業経営者など幅広い」とし、国際的プラットフォームへの信頼が被害拡大の一因になっていると指摘した。
フェイスブック上では投資詐欺広告、著名人のなりすまし、偽ブランド品や無許可の医薬品の販売、危険物の取引などが横行し、広告審査の不備が露呈していると非難。利用者の行動データを基に広告を最適化する仕組みが、投資や健康情報に関心を持つ層を詐欺業者が狙いやすくするという、構造的な問題もあるとした。
また、詐欺広告から得られる広告収入がプラットフォーム側に入る点を挙げ、「収益を得ている以上、一定の責任を負わなければならない」と追及。偽アカウントや偽ページが容易に作成できる現状では、被害発生後も加害者の特定が困難で、実質的に消費者が損害を被らざるを得ないと批判した。
さらに、Metaが他国ではより厳格な広告審査や安全対策を実施しているにもかかわらず、タイでは同水準の対応が見られない点も問題視。タイ国内で得られる収益に対する課税の扱いなど、法的責任の所在も曖昧だとした。
今回の提訴は、Metaに責任を問うだけでなく、デジタルプラットフォーム全体の消費者保護の水準を引き上げることが目的で、出品者の本人確認、広告の事前審査、国際基準に沿った被害補償制度の整備などを求めている。TCCは、被害者に被害体験を共有するよう呼びかけ、オンライン詐欺の実態を可視化し、国際的プラットフォームに対してタイの消費者保護を強化するよう促す考え。
























