【タイ】タイのメディアが報じるところによると、酔客によるトラブルについて飲食店側に一定の責任を求める新たな酒類管理法に、飲食業界団体が反対の姿勢を示している。酒類管理法は今年11月に改正されたばかりで、20歳未満の者に加えて「すでに酒に酔っている客」への酒類提供を禁止している。
20歳未満など年齢に疑いがある場合には、身分証明書など公的な「身分証の提示による年齢確認」を、酒類を販売・提供する側に義務付けている。一方、提供者が客の酔いの程度を判断するのは「必要な場合に限る」とされる。規定に違反した場合や、酔客の行為によって第三者に被害が生じた場合、「酒類を提供した側」が法的責任を負い、損害賠償を求められる可能性がある。
タイの飲食店協会はこうした内容について、現場の判断に過度な責任が課されているとして懸念を示している。仮に事件が起き、酔客が特定の店で酒を提供されたと主張した場合、その客がすでに酒に酔った状態であり、店側は酒を提供していなかったことを、裁判で立証しなければならないという。入店時には酒に酔っていない状態であった客が、その後に酩酊して第三者に危害を加えた場合でも、事実関係の立証が難しくなる。
複数人で来店した場合には、責任の所在がさらに不明確になる。グループの中に酔客が含まれていた場合、店が酒類の提供を拒否すべきかどうか、酒に酔っていない客が注文して同席の酔客が問題を起こした場合はどうなるのかなど、判断基準が明確でないとしている。
当局は、トラブル発生時の確認手段として音声録音機能付きの防犯カメラの設置を求めているが、規模にかかわらず新たなコスト負担を強いることになるとして、店側からは不満の声が上がっているという。



















