【タイ】内視鏡の画像診断支援AI(人工知能)を開発する「株式会社AIメディカルサービス(AIM)」(本社:東京都豊島区)が、AIを活用した胃病変の腫瘍性・非腫瘍性を判定する内視鏡画像診断支援システムで、タイ食品医薬品局(FDA)から医療機器としての認可を取得したと発表した。鑑別機能を備えた上部消化管領域の診断支援AIとして、タイで初の認可取得となる。
製品名は「Endoscopic image diagnosis support software – gastroAI-model G」で、内視鏡映像の静止操作によって取得した内視鏡画像を病変候補画像として解析し、病変候補画像が腫瘍性(Adenoma or Adenocarcinoma)であるか、非腫瘍性もしくは腫瘍性の可能性が低い(Low Confidence)かの、いずれかを表示する。腫瘍性である場合には、腫瘍性の可能性の度合い(信頼度)を数値で表示すると共に、病変の位置を示す矩形を病変候補画像へ重畳表示する。
AIMによると、胃がんは世界で年間約100万人が罹患し、死亡者数は約60万人で、がん死亡者数の第5位に位置する。早期に発見すれば十分に治療可能な疾患である一方、ステージが進行するにつれて生存率が大きく下がることが特徴で、5年相対生存率はステージ1で発見された場合は95%以上、ステージ3以降で発見された場合は50%以下となっている。早期発見が重要だが、早期では判別が難しく、4.5~25.8%程度が見逃されているとされる。
タイでの胃がんの罹患数と死亡数との比較は、罹患した人の約75%が死亡しており、多くが進行期で発見されていることを示唆している。タイ人は、グローバルサウスの一員として経済成長と共に平均寿命も伸びており(約76歳)、アセアン諸国の中でも著しく高齢化が進んでいる。国連の2024年の世界人口予測よると、タイの人口はピークに達して今後減少する見通しであり、高齢化に伴う胃がんを含むがん対策のニーズが高まることが予想される。
AIMは、日本が世界をリードする内視鏡医療技術を活用した胃がん診断支援AIをタイの臨床現場に届けることで、将来的には内視鏡専門医不足という課題の解消や、胃がんによる死亡者数の減少に貢献することを目指すとしている。