バンコク地震のビル倒壊、原因は「設計施工」で建材に問題なし タイ首相が明言

【タイ】ペートーンターン・チナワット首相は6月30日、バンコクでの地震(ミャンマー中部地震)で3月28日に倒壊したチャトゥチャック区内の「タイ会計検査院(SAO)」新本部ビル(当時建築中)を巡り、倒壊の原因は「設計施工」だと明言した。これまで大きく報じられていた「建材の強度不足」を疑う見方は否定した。

 今回の結論は、内務省土木・都市計画局、チュラーロンコーン大学、カセサート大学、キングモンクット工科大学ラートクラバン校の共同調査の結果を受けたもの。ペートーンターン首相は、「剪断(せんだん)力を吸収する役割を担うエレベーターと階段の壁が不適切な設計施工だった」と説明した。

 エレベーター周りに関しては4月14日、当時の事故調査委員会のメンバーだったタイ構造エンジニア協会(TSEA)が、「エレベーターシャフト(昇降路)の設計が変更され、壁の厚さが当初の30センチから25センチに薄くなっており、強度が低下した可能性がある」と発表していた。これに対しSAOは、「壁を薄くする分だけ鉄筋を増やしており、設計変更は正当」と反論した。

 ペートーンターン首相は同時に、これまで取りざたされてきた建材の強度不足について、きっぱり否定。鉄筋、コンクリ、そのほかの建材の品質は必要な基準を満たしていたと話した。

 建材の中でも特に鉄筋は、今年1月に製品が品質基準を満たさずに業務停止命令を受けた、東部ラヨーン県に工場を構えていた中国メーカー「シンクーユアン・スチール(Xin Ke Yuan Steel)」の製品が使用されていたことから、倒壊の一因の可能性が高いとみられていた。同社は昨年12月に爆発を伴う工場の火事を起こし、鉄筋などの製品2400トンを差し押さえられた。

倒壊翌日3月29日の現場 写真:newsclip

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