タイ野党のカリスマ政治家、議員資格回復も危機続く 

【タイ】議会下院(定数500)第1党で野党のガウクライ党(ムーブフォワード党)のピター・リムジャルーンラット前党首(43)が、国会議員がメディア会社の株式を所有することを禁じる憲法規定に違反したとして、タイ選挙委員会に訴えられた裁判で、タイ憲法裁判所は24日、ピター氏が株式を所有するメディア会社がすでに事業を停止しているとして、訴えを退けた。

 ピター氏は2007年に事業を停止した有料テレビ会社ITVの少数株式を父親から相続していた。判決を受け、ピター氏は昨年7月に停止された下院議員資格を回復する。

 ただ、ガウクライ党は、国王批判に重罰を科す不敬罪の改正廃止を掲げたことで、「国王を元首とする民主政体の転覆を図った」として王党派弁護士から訴えられ、今月31日に憲法裁が判決を下す。判決次第では、ガウクライ党の解党、ピター氏ら党幹部の参政権停止につながる恐れがある。

 ガウクライ党は昨年5月に行われた下院総選挙で151議席(比例代表の得票率36.2%)を獲得して第1党になった。同じ旧野党陣営で141議席(同27.7%)を獲得したタクシン元首相派のプアタイ党と同盟を組み、小政党6党を加えて下院で過半数の312議席を確保。7月に行われた上下両院合同会議での首相指名選挙でピター氏を擁立した。しかし、不敬罪の改正廃止を掲げるガウクライ党に対し、下院の旧与党陣営とプラユット軍事政権(2014~2019年)が議員を選任した非民選で王党派の議会上院(定数250)が強く反発し、ピター氏の得票は324票と、首相選出に必要な376票にとどかなかった。

 国会で膠着状態が続く中で、ピター氏の下院議員資格が停止されると、プアタイ党はガウクライ党との同盟を解き、旧与党陣営の中核3党を含む10党と連立を組み、下院で314議席を確保。不敬罪に手を付けないと約束して上院の支持も取り付けた。8月に行われた2回目の首相指名選挙では、プアタイ党所属の元実業家、セーター・タウィーシン氏(61)が賛成482票、反対165票、棄権81票で第30代のタイ首相に選出された。

 ピター氏は奨学金を得て米ハーバード大学の経営学と公共政策の修士号を取得した。実家の食品関連の企業を経営するなど実業家の経験もある。女優と結婚して女児を設けるが、その後、離婚した。清新なイメージと甘いマスク、鋭い舌鋒で、特に若年層に絶大な人気を誇る。

 

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