【タイ】現存するタイ最古の政党、民主党は14日の議会下院(定数500)総選挙で獲得議席が25議席にとどまる大敗を喫し、同日夜、ジュリン党首(67)が辞任を表明した。
チュワン国会議長(84)、アピシット前党首(58)といった清廉なイメージの政治家が歴代党首を務め、タイ的な民主主義の守り手といった役割を果たしてきたが、民主派都市中間層と民主主義を軽視する王党派エリートを同時に支持層とする矛盾を覆い隠せなくなり、双方の支持を失って歴史的使命を終えたかたちだ。
民主党は1946年設立。1990年代にはチュワン氏が2度、2008~2011年にはアピシット氏が、首相として連立政権を率いた。2011年の下院選では159議席を獲得、宿敵であるタクシン元首相派に破れ第2党となり、下野した。2014~2019年のプラユット軍事政権を経て、2019年に行われた下院選では、支持層である王党派と民主派をそれぞれ新党に奪われ、52議席と大敗。プラユット首相率いる親軍・王党派政権に与党第3党として加わり、ジュリン党首が副首相兼商務相を務めた。
今回の選挙では、親軍政権に加わったことで民主派の支持を失った上、党内王党派がプラユット首相率いる王党派新党に大量移籍し、総崩れとなった。強固な地盤だった南部を失い、かつて人気を誇ったバンコクでは競り合うことすらできずに議席0と惨敗した。