【タイ】スチンダー・クラープラユーン第25代(19人目)タイ首相が6月10日午前1時57分、バンコクのプラモンクットクラオ陸軍病院で死去した。享年91歳、老衰と伝えられる。
1933年バンコク西隣ナコーン・パトム県生まれ。もともとはチュラーローンコーン大学で医学を学んでいたが1年で中退し、チュラチョームクラオ陸軍士官学校に第5期生として入学した。卒業後は米国に渡ってオクラホマ州フォート・シルの陸軍野戦砲兵学校で野戦砲兵大隊長としての訓練を受け、帰国後の1953年に軍人としてのキャリアをスタートさせた。ベトナム戦争では対空砲兵師団の作戦部長を務め、第24代(18人目)アナン・パンヤーラチュン元首相が在米タイ大使(ワシントンDC)を務めていた頃は、同大使館に副武官として赴いている。
1991年のクーデターで陸軍による「国家平和維持評議会」が結成され、陸軍司令官のスチンダー将軍(当時)は副議長として参画し、米ワシントンで一緒だった外交官のアナン氏を首相に立てた。1992年に総選挙を実施し、5政党からの首相指名を受けて首相に就任したが、反発した国民に抗議デモを起こされ、それを鎮圧して同年5月17日の「暗黒の5月事件(プルッサパー・タミン)」を引き起こした。陸軍兵士がデモ参加者に発砲、死者は300人を超えたとされる。事件後、ラマ9世(プミポン国王)に諭されて就任48日で首相を辞任した。
8月6日の誕生日には毎年、軍関係者や政治家が自宅まで祝いに訪れていたが、近年は健康状態の悪化を理由に催されていなかったという。葬儀の日程は後日発表される見込み。