【タイ】バンコクの地震で倒壊した「タイ会計検査院(SAO)」新本部ビルの工事請負主だった中国系ゼネコンの実態が明らかになってきた。タイ人名義借り(ノミニー)による会社設立や、仕入れを多く見せかけた脱税などの証拠が挙がっており、捜査を担当するタイ法務省特捜局(DSI)が起訴に向けて動いている。
捜査対象となっているのは、中国国営ゼネコン「中鉄十局」を親会社に持つ、「China Railway No 10 (Thailand) Ltd.(CREC10)」。タイのゼネコン大手イタリアンタイ・デベロップメント(ITD)とJV(ジョイントベンチャー)を組み、「ITD-CREC」として工事を請け負っていた。
CREC10は資本金1億バーツにもかかわらず、タウンハウスのような粗末な建物に入居しており、事故発生直後から疑いの目を向けられていた。DSIの捜査で、株主名簿のタイ人3人はノミニーで、実際には中国人が経営を仕切っていたことが判明した。名義を貸したタイ人3人も起訴されることになるという。
また、国税局(歳入局)の調べによって、CREC10が2015年から2017年までの2年間、Tax Invoice(仕入れ付加価値税)を偽造して2億バーツを脱税した疑惑も浮上した。国税局は告訴済みで、脱税が認められれば10億バーツ規模の重加算税となる見込み。
DSIはほか、ビル倒壊の一因と思われる劣悪鉄筋の製造元である中国メーカー「シンクーユアン・スチール(Xin Ke Yuan Steel)」との関係も調べている。
倒壊したビルに入居するはずだったSAOも窮地に立たされている。政府機関の監査、公共プロジェクト監視、汚職防止、政策評価といった、政府の中でも絶対的な権限を持つSAOが「CREC10の不正に気付かなないわけはなく、むしろ自ら不正に関与していたはず」と疑いの目を向けられている。
SAOのモンティエン・チャルンポン院長もまた、「SAO批判は不当」「ビル倒壊で夢も砕けた」などと発言。「被災者・犠牲者への配慮が皆無」と、さらなる批判を浴びている。