【タイ】警察は6月3日、タイを訪れていた中国人女子学生(21)が、詐欺グループに指示されて「誘拐されたように見せかける」仮想誘拐(Virtual Kidnapping)の被害に遭い、家族に300万香港ドル(6000万円相当)の身代金を要求されていた事件で、女子学生を保護したと発表した。香港警察からの要請を受け、タイ警察が行方を追跡していた。
女子学生は5月31日に香港を出国し、6月1日未明にバンコクに到着。バンコク都ラートクラバン区内のホテルに1人で宿泊したが、その後、家族と連絡が取れなくなった。家族のもとには、通信アプリWeChatを通じて「娘を拘束している」と名乗る男から連絡があり、身代金300万香港ドルを要求するとともに、写真や動画が送られてきた。女子学生が縛られ、暴行を受けたように見える姿が映っていたという。
女子学生は「犯罪に関与している」などと脅され、家族との連絡を絶つよう指示されていた。ロープ、ベルト、ナイフ、ボディーペイント用の塗料、赤い口紅などを購入させられ、暴行を受けたように見せかける写真や動画を撮影して送信していた。近年各国で確認されている仮想誘拐の典型的な手口とされる。
事件前には、「留学手続きに必要な資金証明」などと偽って、父親に140万香港ドルを送金させていたことも分かった。資金は中国銀行の女子学生名義口座に振り込ませた後、複数の名義貸し口座に分散送金されていた。
タイ警察は、女子学生が宿泊していたホテルの防犯カメラ映像などを解析し、部屋に出入りするのが本人だけであることを確認。詐欺集団から送られた偽造パスポート画像を使って、隣県サムット・プラーカーン県バンプリー郡内の別のホテルに移動していたことを突き止め、現地で女子学生を保護した。
これまでの調べによると、詐欺集団は外国の捜査機関や当局者を名乗り、「捜査に協力しなければ逮捕する」などと脅して心理的に支配。指定した場所に移動させたうえで、誘拐されたように装わせ、家族から金を脅し取る手口を用いていた。実際の誘拐は行われていないものの、被害者と家族が受ける恐怖や精神的被害は深刻だという。
警察は、身に覚えのない捜査名目で金銭の振り込みを求められたり、家族との連絡を絶つよう指示されたりした場合には、まず家族や関係機関に直接確認し、ただちに警察に通報するよう呼び掛けている。タイ警察人身取引対策課(ATPD)のホットラインは「1599」。
写真:POLICE News Varieties


























