高速鉄道建設クレーン倒壊事故、タイ運輸省「組織的な安全管理の欠如」

【タイ】東北部ナコーン・ラーチャシーマー県シーキウ郡で発生した高速鉄道建設クレーン倒壊事故で、運輸省は「個人の過失ではなく、関係者全員に及ぶ組織的な安全管理の欠如が原因だった」とする調査結果を発表した。施工業者のゼネコン大手イタリアンタイ・デベロップメント(ITD)のみならず、事業主体であるタイ国鉄(SRT)の監督不備も追及している。

 事故は1月14日に発生。高架橋の建設に使われていた「ランチングガーダー」と呼ばれる架設クレーンの前方支柱が高さ10メートルから落下し、直下を走行していた国鉄バンコク発ウボン・ラーチャターニー行き特急21号列車に衝突。乗客30人と作業員1人が死亡し、71人が負傷した。車両3両が破壊されて2両目が炎上、3両目が脱線した。同線は10日間にわたって運休し、1月24日に運行を再開した。

 事故調査委員会によると、クレーンを前進させる際に荷重を2点で支えるという必須手順があるにもかかわらず、事故当日はこの工程を省略したまま前進させた。その結果、700トンを超える荷重が1点に集中し、支えとなる鋼製締結材(PTバー)が破断して支柱が落下した。

 ITDが操作マニュアルの必須工程を省略、作業開始の事前承認を得ず、列車運行停止(ウィンドウタイム)の申請も行わずに作業を強行。鋼製締結材の交換周期を守らず、法令で義務付けられたクレーン点検も実施していなかった。

 さらに、工事監理を担うコンサルタント会社も現場に技術者や安全担当者を配置せず、承認書類を事前・事後に形式的に署名するだけで、クレーン本体の点検を一度も行っていなかった。国鉄も、技術者に複数契約の監督を兼務させるなど監督体制が脆弱で、安全管理を事実上コンサルタント会社に丸投げし、自らの法的監督義務を十分に果たしていなかった。

 同委員会は、「これは不運による事故ではない」と強調。安全上の欠陥を関係者全員が認識しながら放置した結果、重大な犠牲につながったと結論づけた。確認された行為は重大な契約違反に当たり、契約解除や放棄工事業者としてのブラックリスト入り、登録取消処分につながる可能性があるという。

●タイ中高速鉄道、工事遅延が深刻化 2030年開業は困難か
●高速鉄道建設クレーン倒壊事故、タイ首相が責任追及と業者処分を指示
●【更新:死傷者96人】タイ東北部の高速鉄道建設でクレーン倒壊、通過中の列車を直撃 3人死亡、40人以上けが

写真:Fire & Rescue Thailand

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