【タイ】タイ国鉄(SRT)は、タイ・中国共同による高速鉄道計画の第1期区間(バンコク~ナコーン・ラーチャシーマー間)について、工事遅延の深刻化で2030年の開業目標達成が極めて厳しい状況にあることを明らかにした。現時点での全体進捗率は52.4%にとどまり、計画上の目標である80.7%を大きく下回っている。
同区間は延長251キロで、総事業費は1794億1221万タイバーツ(9000億円相当)。全線で中国方式の高速鉄道技術を採用しているが、残る土木工事の完了には少なくとも3年半を要すると見込まれ、2030年の営業開始は「非常にタイトな日程」との認識が示された。
土木工事は全14契約で構成され、このうち2契約は完了したものの、10契約が施工中、2契約は未着工となっている。施工中の契約の中には、進捗が大幅に遅れている区間が複数あり、特にナコーン・ラーチャシーマー(コラート)県内では、当初の盛土構造から高架構造への設計変更に伴う予算増額が必要となり、進捗率は2割未満にとどまっている。改定予算は新政権の承認待ちで、工事再開のめどは立っていない。
また、バンコク都内バーンスー~ドーンムアン間では、3空港を連結する高速鉄道計画とのインフラ重複を巡り、契約内容の見直し案について検察庁の判断を待っている状況で、こちらも新政権の承認が必要となる。さらに、バンコク首都圏ドーンムアン~ナワナコーン間や中部プラケーオ~サラブリー間などでも用地引き渡しの遅れや設計調整が影響し、工程が大きく後ろ倒しとなっている。
ほか、コラート県ラムタコーン~シーキウ区間では、建設用クレーンが走行中の列車に落下し多数の死者を出す重大事故が発生し、現在も工事は全面停止中。調査結果次第では契約解除に発展する可能性もある。
こうした工事の遅れは、線路、電気・信号設備、車両を含む鉄道システム一式を調達・設置する別契約にも影響を及ぼしている。同契約は2019年に締結され、今年で契約期間が満了するが、土木工事区間の引き渡しが完了していないため、着工指示を出せない状態が続いている。このため、国鉄は中国側と契約延長に向けた協議を行う必要があるとしている。
今後は、土木工事の進捗に合わせて区間ごとに中国側が順次現場入りし、工事と並行して設備設置を進める方式を検討する方針。ただ、行政手続きの停滞も重なり、全体工程の立て直しは容易ではないという。新たな国鉄理事会の発足や契約変更・予算修正に対する政府判断が、計画の行方を左右する重要な要素となっている。
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