【タイ】タイで全国的に狂犬病の感染が拡大している。8月に入ってからはスワンナプーム空港がある東部サムット・プラーカーン県でも症例が確認され、タイ保健省が同県を動物疫病区域(動物由来感染症発生地域)に指定した。
保健省によると、今年に入ってから全国6県で7人が狂犬病感染で死亡した。前年比3倍のペースだという。死亡が確認された県は、東部チャチュンサオ、チョンブリー、ラヨーン、北部ターク、東北部ナコーン・ラーチャシーマー(2人)、シーサケート。また、サムット・プラーカーン県では昨年、59歳男性が飼い犬に咬まれてもワクチンを打たずに放置して死亡した。チャチュンサオ、チョンブリー、ラヨーンの3県はタイ東部経済回廊(ECC)の中心地で、日本人も多く住む。
保健省は、動物疫病区域に指定したサムット・プラーカーン県全域で医薬品の備蓄体制を整え、住民に対する啓発活動を展開している。「咬まれても傷口を洗わず、病院にも行かず、ワクチン接種を受けなかったら死に至る」と説明。「野生の動物を勝手に育てて咬まれて死んだ動物愛好家もいた」とし、理解度が命を救うと呼び掛けている。神経症状が現れた後の致死率は100%といわれる。
イヌやネコに咬まれた場合は速やかに、水とセッケンで10〜15分間洗浄し、自身で消毒した後に医療機関で必要なワクチン接種を受けなければならないとされる。咬んだ動物は最低10日間隔離し、死亡した場合は狂犬病の検査を受けさせる。