【タイ】政府住宅銀行(GHB)傘下の不動産情報センター(REIC)が、ナコーン・ラーチャシーマー(コラート)、コーンケーン、ウドーン・ターニー、ウボン・ラーチャターニー、マハーサーラカームの東北部主要5県の2026年上半期の住宅市場動向を公表した。実需は引き続き存在し、市場全体に回復の兆しがみられるが、県ごとに状況は大きく異なっているという。
全国的には、住宅ローン審査基準(LTV)の緩和や所有権移転登記手数料・抵当権設定手数料の引き下げが市場改善を後押しした。住宅所有権移転件数は前年同期比18%増、移転額は10%増となり、住宅ローンも同様の傾向を示した。
一方、東北部5県の需給状況には大きな差がある。コーンケーン県は販売と所有権移転が好調で成長余地が残る一方、ナコーン・ラーチャシーマー県は既存在庫の消化が課題となっている。ウドーン・ターニーでは、特にマンションの在庫増加に注意が必要で、ウボン・ラーチャターニーは購買力に見合った商品構成への見直し、マハーサーラカームでは実需層向けの小規模開発が適しているとされる。
所有権移転データによると、東北部では中古住宅の存在感が高まっている。中古住宅の移転件数は全体の70%超を占める県が多く、一部では90%近くに達した。REICは、中古住宅市場の拡大が実際の購買力を反映していると分析。新築住宅事業者に対し、価格設定や住宅規模、商品の付加価値をより重視する必要があると指摘した。
ナコーン・ラーチャシーマー県では、新規販売戸数が新規供給戸数の1.6倍となり、在庫が減少した。ただ、現在の在庫をすべて消化するには51カ月を要すると見込まれ、新規開発よりも在庫管理や段階的な開発、適正価格設定を優先すべき状況だという。
コーンケーン県は今回の調査で最も堅調な市場の一つだった。新規販売戸数は新規供給戸数の1.9倍となり、在庫は10%減少した。所有権移転件数は30%増加し、東北部で首位となってナコーン・ラーチャシーマーを上回った。新築マンションの移転件数もほぼ倍増し、都市部で働く人々や居住需要を反映した結果となった。
ウドーン・ターニー県では供給が急増している。マンション在庫は前年同期比で3倍、戸建てなど低層住宅の在庫も50%増加した。販売ペースを上回る供給拡大が続いており、在庫消化期間は現在26カ月と極端な水準ではないものの、今後も在庫が積み上がれば急速に悪化する可能性があるとし、新規供給を抑制する必要があると指摘した。
ウボン・ラーチャターニー県では、所有権移転件数が14%増加したものの、新規プロジェクトの販売は低調だった。マンション在庫は28%増え、現在の需要は比較的手頃な価格帯の戸建て住宅に向いている可能性が高いという。市場拡大よりも商品構成や価格帯の見直しが重要としている。
マハーサーラカーム県では、新築住宅の移転件数が27%減少した。市場規模が小さいため、一つの新規開発案件が需給バランスに大きな影響を与え得ることから、小規模かつ段階的な開発を行い、実需層を中心に販売することが望ましいとしている。
REICによると、東北部5県の総供給戸数は1万5777戸で前年同期比4.4%増、総供給額は532億4100万バーツ(2500億円相当)だった。新規供給は2224戸で62.3%増、新規販売は2356戸で0.5%増となった。販売可能在庫は1万3421戸で5.3%増、平均吸収率は月2.5%となり、在庫消化には34カ月を要すると見込まれている。マンションは22カ月、分譲住宅は44カ月で消化できる見通し。
●バンコク首都圏住宅市場、コンドミニアム販売19.5%増 「ネットワーク型都市」への移行も
●タイの住宅市場、2026年上半期は17.6%増と好調 政府の減税措置が押し上げ効果
●バンコク都市鉄道延伸で地価上昇 郊外東部の伸び顕著

























