タイ製造業に新たな支援策 地政学リスクと高コストに対応

【タイ】ワラーウット・シラパアーチャー工業相は、地政学的な緊張の高まりやエネルギー価格の上昇に直面する国内製造業を支援するため、新たな政策を打ち出す考えを示した。政府が掲げる「バイオ・循環・グリーン(BCG)経済モデル」に沿い、産業構造を環境配慮型で持続可能な方向に転換する方針を強調した。

 イスラエルと米国が関与するイランとの衝突を背景に、世界的に原油価格が急騰。国際的な供給網に混乱が生じており、タイの産業界も新たな課題を突き付けられている。第2次アヌティン政権で新たに就任したワラーウット工業相は、国家財政の負担を軽減するために緊急性の低い事業の削減や延期を検討しており、その分の資源を製造業に振り向ける考えを明らかにした。

 景気減速、エネルギー価格の高騰、供給網の混乱、原材料不足といった複合的な問題に対応するため、政府としての支援策を加速させる。対象企業は大手から中小までと幅広く、運営コストの上昇に苦しむ事業者を包括的に支えるとしている。

 製造業は、電子機器、自動車、加工食品などの分野で国内総生産や輸出を牽引するタイ経済の中核を担っている。ワラーウット工業相は、気候変動対策を重視する国際的な潮流を踏まえ、高度技術と環境負荷の低い生産体制への移行を最優先課題に掲げた。BCGモデルの下では、環境への影響を抑えつつ付加価値を高める技術の導入を企業に求める。

 今後は、外国人投資家とも直接面会して事業拡大計画や政策の方向性について説明するほか、電気自動車(EV)の普及促進や再生可能エネルギー開発も重点分野として位置付けていく。国際競争力を高めるため、環境基準の厳格な運用も進める。

 ワラーウット工業相は、「経済減速と原油高で企業の負担が増す中、政府は新たな規制で重荷を課すのではなく、的を絞った支援で産業の耐久力を高める」と強調。短期的な救済策と長期的な持続可能性を両立させ、タイの製造業を革新と環境配慮の分野で国際的な先進例とすることを目指すとしている。

ワラーウット工業相 写真:ท็อป วราวุธ ศิลปอาชาフェイスブックより

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