データセンター投資が牽引、不透明感残るも堅調な需要のタイ工業用不動産市場

【タイ】タイのメディアが不動産コンサルティング会社「CBREタイランド」の分析として伝えるところによると、タイの工業・物流不動産市場は先行き不透明感が残る中でも、堅調な需要と政府の継続的な支援を背景に、ほかの不動産分野を上回る好調さを維持している。CBREタイランドによると、同分野は過去5年間にわたって際立った成長を遂げており、2026年まで安定した推移が続く見通しだという。

 投資委員会(BOI)の認可実績に基づく重点産業の中で、データセンター向け投資が最も高い伸びを示し、前年の6倍となる6000億バーツ(3兆円相当)超に達した。半導体を含む高付加価値サービス分野もほぼ3倍の1750億バーツ超に拡大している。一方、2023年に投資を牽引した電気自動車(EV)分野は減速し、2025年は70億~80億バーツと、2023年の300億バーツから大きく縮小した。

 EV関連需要に支えられて4年連続で拡大してきた工業用分譲地の需要は、2026年から落ち着きを取り戻す見通しで、タイ工業団地大手「WHA」および「アマタ」による引き渡し面積は3200ライと、2025年と同水準にとどまる見込みだという。ただ、取引件数は減少する一方で1件当たりの規模は拡大し、2年前の10~20ライ(1ライ=1600平方メートル)からおよそ100ライへと拡大し、データセンター事業者向けでは400~500ライ規模に達するケースも出てきている。

 こうした調整局面の背景には、地政学的緊張や米国の政策動向といった外部要因があり、タイの輸出成長に影響を及ぼす可能性がある。ただ、域内貿易の拡大を受けて外国企業の東南アジア移転が進み、タイもその受け皿となるとみられている。

 即入居可能な工場(RBF)への需要も高まっており、新たなサプライチェーンの形成を後押しするとともに、既存メーカーの生産能力拡張や中小サプライヤーの参入を促している。2025年末時点のRBF供給量は280万平方メートルで、空室率は2022年の23%から4.8%まで低下した。新規供給が限定的なことから、今年はさらに4.7%まで下がると予測されている。

 近代的な物流施設市場では、大手デベロッパーが主導権を握り、事前賃貸や特定用途向け建設が中心となっている。一方、住宅市場の低迷を受けて事業多角化を進める国内外の新規参入組が、投機的な供給を手がけており、プルクサー・ホールディング、オリジン・プロパティ、センシリ、SCアセット、セナ・デベロップメントなどが名を連ねる。

 CBREは、2026年には新規供給が需要を上回り、物流施設の総供給量が前年の610万平方メートルから650万平方メートルに増加すると予測。これに伴い、空室率も10.3%から13.1%へ上昇する見通しだ。2026年のタイ不動産市場について、「分野ごとに明暗が分かれる」とした上で、地政学的な安定と景気回復が市場心理を左右する最重要要因になるとの見方を示している。

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写真:newsclip

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