バーツ高にタイ政府・中銀が警戒 5年ぶり高値、輸出や観光に影響懸念

【タイ】タイのメディアが伝えるところによると、タイ政府およびタイ中央銀行(BOT)が、タイバーツの5年ぶりの高値上昇に強い警戒感を示している。エークニティ・ニティタンプラパート副首相兼財務相は「非常に大きな懸念だ」と述べ、ウィタイ・ラタナコーンBOT総裁も、為替介入の効果が限定的であるとの認識を示したという。

 エークニティ副首相は1月22日、スイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)への出席の際、ブルームバーグのインタビューに答え、「タイは小規模で開放的な経済で、輸出超過国。バーツ高は経済全体に影響を及ぼす」と語った。バーツは現在、1米ドル=31バーツ前後で推移しており、5年ぶりの高値圏にある。同副首相によると、対米ドルで1バーツ上昇するごとに、国内総生産(GDP)成長率を0.1~0.2ポイント押し下げる可能性があるという。タイ政府は今年の成長率を約2%と見込んでいる。

 同副首相は、バーツ高の背景として、ドル安の進行、タイの大幅な経常黒字、投機的な資金流入を挙げた。政府は海外投資の呼び込みを進めると共に、金取引に関連した投機的取引の抑制を通じて、通貨高圧力の緩和を図っていると説明した。

 ウィタイBOT総裁はバンコクで同日、為替市場は規模が大きく、中央銀行の影響力も国内取引に限られるため、介入によるバーツ相場への効果は限定的だと述べた。「望まれる水準までバーツを下落させるだけの力はない」と語った。

 総裁の発言後、バーツは2021年以来の高値からやや値を下げた。バーツは2025年、ドル安の進行や金価格が過去最高水準を更新し続けたことを背景に約8%上昇。国内経済の基調の弱さにもかかわらず通貨高が進んだ形で、当局は輸出や観光業への悪影響を懸念し、金地金取引に対する課税強化や監視の厳格化を警告してきた。

 エークニティ副首相は、バーツ建てのオンライン金取引が通貨相場に過度な影響を与えていると、中央銀行と連携して監督権限の明確化を進めてきた。ウィタイ総裁も1月29日には、オンラインでのバーツ建て金取引に関する新たな規制を公表する予定で、個人取引については1日当たり5000万~1億バーツの取引上限を検討していると明らかにした。

 2020年のコロナ禍による落ち込みを除けば、今後10年で最も低い成長率になるとの予測もある。

エークニティ副首相 写真:タイ財務省ホームページより

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