【タイ】フードデリバリー大手「ロビンフッド」を運営するパープルベンチャーズ社が、2026年内の黒字転換を見込んでいる。新たに導入する会員制デジタルトークン「ロビンフッド・コイン」を通じ、利用者の囲い込みとエンゲージメント強化を図る。
同社は昨年、累積損失が90億バーツ(420億円相当)に達し、一時的な事業停止を発表していた。モーラコット・イップインソーイ最高経営責任者(CEO)がタイのメディアに語ったところによると、「現在は事業が徐々に改善し、損失も縮小している。来年には黒字化を実現できると見込んでいる」と語った。
来年の戦略については、中小の地元店舗を中心に加盟店を呼び戻すキャンペーンを展開する方針を示した。無料配達コードや割引コードは継続するが、市場を歪めないよう配慮するとしている。
同社は今回、国内のフードデリバリー業界で初となるファンコミュニティ形成を目的とする「ロビンフッド・コイン」を発表した。モーラコットCEOは、「単なるポイント制度ではなく、真のファンコミュニティを築く仕組み。利用者に帰属意識と主体性を持ってもらい、共にロビンフッドの未来を形づくりたい」と強調した。
利用者は注文100バーツごとに10ポイントの「パープル・ポイント」を獲得でき、2000ポイントで1000コインに交換可能。コインは会員限定の特典を解放する「カギ」となり、キャンペーン投票や会員限定イベント、シェフズテーブル、フード&カルチャーフェスティバル、コンサート、料理教室などに参加できるという。ロビンフッドでの平均注文額は250バーツ。
パープルベンチャーズはもともと、タイ王室系金融持ち株会社SCBX傘下にあり、サイアム商業銀行(SCB)がアプリを公開した。パープルベンチャーズは2024年9月、IT関連事業などを手がけるイップインソイ社を中心とする投資家グループに売却されている。タイでは「ロビンフード」とも発音される。




















