【タイ】チャチャート・シティパン・バンコク都知事は10月9日、高架鉄道(BTS)スクムビット線(グリーンライン)の一部区間で運賃を引き上げざるを得ないとの見解を示した。現行の運賃体系では運営継続が不可能だとしている。今年終わりから来年初めにかけて値上がりする可能性が高い。
運賃値上げは、グリーンライン延伸区間の運営・維持管理を担う大量輸送システム社(BTSC)に対する債務326億バーツ(1500億円相当)の返済を、バンコク都議会が承認したことを受けたもの。2026年度補正予算に返済資金を計上して今月中に清算を完了させる方針。
スクムビット線は、政府コンセッション方式で運営される本線(上限45バーツ)と、バンコク都が直営する延伸1・2期から成る。都は延伸区間の運営に年間80億バーツ相当を投じているが、運賃収入は20億バーツ程度にとどまり、差額は都の予算で補填してきた。チャチャート都知事は、「新たな運賃は実際の運営コストを反映させるもの」と強調。短距離利用はこれまでより下がり、長距離利用は上がる。上限は65バーツに設定される。
ペートーンターン政権は、バンコク都市鉄道全線での運賃上限20バーツ制度を打ち出し、10月1日からの実施を試みたが、その前に政権交代となった。アヌティン政権は「政府負担が過大」との理由で棚上げとしたが、そもそも関連法の成立が間に合っていなかった。
チャチャート都知事は、「債務返済は長年の重荷を下ろす決断で、契約を履行するよう裁判所からも命じられている。支払いを遅らせれば高金利で負担が膨らむ。現在も毎日数百万バーツの利息を払っている」と説明した。返済に充てる資金は都の剰余金から拠出する。