【タイ・米国ほか】タイの複数メディアが外電として伝えるところによると、米国が中国による迂回輸入を阻止するため、タイおよびマレーシアへの人工知能用半導体(AIチップ)の輸出規制を計画している。現実のものとなれば、タイが目指す「地域型AIハブ」としての地位確立に影響を与える心配がある。
米国がAIチップの輸出制限を検討しているというニュースは、前週には世界的に伝えられていた。タイでは数日前から、国内事情を含めた解説をメディアが取り上げ始めている。
AIチップの輸入に制限がかかった場合、タイ国内でのAI研究やスタートアップ企業の発展にブレーキがかかることになる。タイのメディアが掲載する国内専門家の話では、(輸出を検討しているとされる)NVIDIAのチップを利用している国内のクラウドプロバイダーは、適切な時期でのサービスの拡張が不可となり、法人をはじめとする顧客がタイ国外のサービスに流れていく心配がある。政府機関によるデータ管理を国外のサービスに委託することは非現実的で、国家としてもリスクを抱えることになるという。欧米の技術を利用できなくなった場合、代替として頼れるのは中国だ。
タイは投資立国としてさまざまな産業を誘致、それぞれの「ハブ」としての地位確立を目指している。タイ投資委員会(BOI)によると、データセンターおよびクラウドサービス事業での申請は2022年から2024年までの3年間で計27件、投資総額は計2900億バーツ(1兆3000億円相当)だった。2025年1~5月はデータセンター事業8件の申請で、投資額は1830億バーツ。