【タイ】タイの複数メディアが、タイ商務省を出所とする「日本のバナナ消費事情」を紹介している。タイのコメ価格が下落している問題で、ピチャイ・ナリッタパン商務相が「コメ農家は収入を補うため、栽培が簡単なバナナを育てるべき」「日本などはバナナ需要が年間100万トンに達するらしい」と発言したことがきっかけ。同相は後日、「コメ生産を止めてその代わりにバナナを育てろとは言っていない。あくまでもコメ農家の収入の補填としてのアイデアだ」と釈明したが、話題はむしろ日本でのバナナ消費に向いてしまったもよう。
地元紙「カオソット」などの報道によると、商務省国際通商局を出所として、バナナは日本の果物の総消費量の63.6%を占め、リンゴが41.5%、オレンジ(みかん)が29.3%と続く。日本の消費者の12%がほぼ毎日バナナを食べ、35%が週に1~5回バナナを食べている。
日本で消費されるバナナは99%が輸入で、年間100万トン規模。日本国内での栽培は、気候的な理由により鹿児島県と沖縄県の2県にとどまる。タイは「日本・タイ経済連携協定(JTEPA)」でバナナ輸出年間8000トンの無税枠を得ているが、実際には年間3000トンしか輸出できておらず、2023年はわずか1345トン、2億100万円(約5700万バーツ)にとどまった。ただ、今後の拡大は大いにあり得るとしている。
ピチャイ商務相は先の発言で、「タイのバナナ生産量は年間8000トンで、うち2000トンは輸出可能」と説明していた。また、日本以外の主なバナナ輸出先は、中国やカンボジアなど。
日本のバナナ消費事情に関する記事では、タイ王国大使館農務担当官事務所ホームページの「タイ産バナナのお話」の画像も紹介されている。「日本人のバナナ好き」という認識がタイで広まる可能性がある。