日本の灯籠流しに似た行事。旧暦12月の満月の日に行われる。2024年は11月15日(金)。ローイ・クラトンの発祥は北部スコータイ県とされ、当地では大々的なイベントが催される。最近ではタイ各地で企画される「ライト・アンド・サウンド・ショー(光と音の祭典)」は、シリントン王女の発案でスコータイのローイ・クラトンのイベントから始まったという。
仏教行事と間違われることが多いが、一般には水の女神「コンカー」への祈りや収穫への感謝などを表したものとされる。このような一般的な説明とは別に、自分の髪の毛や爪を器に入れて川に流す、いわゆる罪滅ぼしの「ローイ・バープ」の行為を兼ねたものともいわれる。さらには、若い男女それぞれが流したクラトンが水の上でぶつかると2人は結ばれるといった、恋占いの行事にも発展している。一昔前は、若いカップルがローイクラトンの後にホテルに行くことが流行しているとして、警察の見回りが強化されたこともあった。
本来は自宅近所の川、運河、池などで、灯籠が素朴に流される。最近では経済活性や観光促進のため、役所、大学、ホテルといった単位でイベントが開催され、より華やかなショーと化しているが、その後に大量のゴミが発生することから、クラトンを水の生き物が食べられるようパンで作るなど、自然に優しい対策も見かける(バンコク都内では腐敗を原因にパンを禁止する向きもある)。