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【再録・タイ人あるある恐怖体験】⑮ 霊感の強いよっちゃん ~日タイハーフよっちゃんシリーズ③~
- 2025/10/12
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♀ 22歳 ホテルで見ちゃった
私は小さいころから幽霊が見える。幽霊はどこにでもいるから、霊感が強い時期はどこに行っても見える。これは、私が修学旅行先のホテルで見た霊の話。
私の部屋は4階にあった。修学旅行1日目の夕方、みんなが部屋でゆっくりしていたとき、同じ階の少し離れた部屋から突然、友人の悲鳴が聞こえた。何事かと思い廊下に出て、すぐに気がついた。悲鳴を上げた友人の部屋の前に、何かが立っていたのだ。頭が天井に届くほどの背の高さで、こちらに顔を向けていた。
様子を見に部屋から出てきたほかの友人には見えないらしく、みんな平気で近づいていった。私も友人に手を引っ張られて近づく。3メートルほどの背丈で、骨の形がくっきり見えるほどやせ細っていた。服はボロボロに破れ、肌がむき出しに。何より怖いのは顔がないこと。というより、ぐちゃぐちゃで原型をとどめていない。顔の部分だけが潰れて荒いミンチ肉のようになり、ところどころ固まった黒い血が見える。それ以上近づきたくなかったが、友人が「行こうよ!!」と言って無理やり腕を引っ張るので、目をつむって問題の部屋に入った。
私が部屋に入ると、背の高い霊は背中を曲げて部屋の中を覗き込んできた。目がないので見ているかは分からないが、顔はこちらを向いている。部屋に入ってくる様子はない。悲鳴を上げた友人は、
「ベッドの下から何本もの白い腕が伸びてきた」
と泣きながら騒いでいた。私には白い腕は見えない。私は白い腕よりもはるかに恐ろしいものを見ていたので、お経を繰り返し唱えた。ほかの友人に気味悪がられ、
「頭おかしい」
などと言われたが、恐怖でそれどころではなかった。
私は、白い手を見たという友人が落ち着きを取り戻してから、その部屋を後にした。幽霊はまだドアの前に立っていたので、走って部屋を出た。白い手を見た友人は部屋を交換してもらい、修学旅行最終日まで何事もなく過ごした。ただ、幽霊は最後の日までずっと、あの部屋の前に立っていた。
ホテルを出るとき、生徒みんなで階段を降りていったのだが、幽霊は手すりの上に座っていた。白い手を見た友人を見つめるかのように、顔をずっとその子の方に向けていた。
ちなみに、うちの生徒は毎年そのホテルに泊まるのだが、私の泊まっていた4階で誰かが必ず幽霊を見ると、上級生たちが噂していた。噂が本当だったことは分かったが、できればあんなものは見たくなかったな。
再録:過去に掲載して人気が高かったコラムを再アップしています。