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〈タイ業界事情〉生成AI機能を活用することにより製造原価の予測をおこなうことは可能なのか BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
- 2025/4/26
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難波 孝次 氏 Managing Director
生成AI機能は戦略情報システムを現代に蘇らせることが出来るのか。
前回までは既存の業務管理システムに生成AI機能を組み込むことにより、どういったことがおこなえるのかというお話をさせていただきましたが、今回は少し趣向を変えまして表題の通り戦略情報システムに生成AI機能を活用することを考えてみたいと思います。それで先ずは戦略情報システムとは何者か?という所からになるかと思いまして、同システムは1980年代の後半から1990年代にかけて流行したシステムの概念でありまして、それで戦略という名称が付くくらいですので何かと戦う目的で使用されるもので、戦う相手としては競合他社ということになります。要はそれまでのコンピューターシステムというものは会計管理として財務諸表を作成したりとか、販売管理で営業マン毎の売上金額を算出したりとかの間接部門でおこなってきた社内業務のサポートを担当するものという形で考えられておりました。それに対して戦略情報システムは外に打って出て戦うということを目的としておりまして、そういう風に表現すると何だか物騒なシステムみたいですが、具体的な例としましてはPOSシステム(販売時点情報管理)がよく挙げられます。
このPOSシステムの特徴としましては、通常であれば商品を販売した際にコンピューターシステムに入力される情報としましてはどういった商品が何れの店舗で何個売れたかくらいなのですが、POSシステムはといいますとそれに加えて売れた時刻や購入者の年齢や性別といった様々な情報をシステム内に入力することにより、それらの情報を今後の経営戦略に活かすといった形となっております。それでどのように活かすのかと言いますと、例えば商品Aは夏の暑い日の日中によく売れて商品Bは逆に冬の寒い日の夕方に売れるということが判明した場合によく売れる時期に備えてあらかじめ在庫を増やしておくことが可能ですし、また商品Cは20代の男性によく売れて商品Dは子ども連れの女性によく売れるといった結果だった場合に、販売対象者が多く住む店舗にその売れ筋商品を陳列棚の良く見える場所に置いておくとかそういったマーケティング戦略をおこなう為のものとなります。
ということで、戦略情報という少々大袈裟な名前を付けてはおりますが、その実ごく一般的な手法を用いたマーケティング機能ではあるのですが、現在はあまり使われなくなった呼称となっております。そこで今回はこの戦略情報システムに焦点を当てまして、同システムに生成AI機能を活用することにより現代に蘇らせることが出来るのか?というお話をさせていただければと考えております。
と、ここまで書いておいて何なのですが、実はこのようなマーケティング手法は現在でも浸透しておりまして、それどころか既にAIを活用することによりかなり有効的な使い方をされているというのも事実であります。具体的にはAmazonに代表されるECサイトをよくご利用になられている方ならご存じだとは思いますが、一度検索をおこなった品物については類似商品も含めて以後頻繁におすすめ商品として表示されたり、注文した品物が消耗品であれば定期的に表示されるとか、後は書籍やDVDを注文すると続巻や続編が出たタイミングで自動的に表示されるようになるとか、そういったマーケティングは当たり前となっております。ということで、戦略情報システムという呼び方が使われなくなったのはその手法がより一般的になったので、わざわざ特別な名前を付けてありがたがる必要がなくなったとも言えますでしょうか。
そこでここでは、更に機能を飛躍させた形での生成AIを使った戦略情報システムを例を挙げて考えてみたいと思います。
1、会計データを戦略情報として活かす
現在おこなわれておりますAIを活用したマーケティングシステムと言いますと、基本的には前述のPOSシステムの考え方を発展させた手法が多いのですが、ここでは少し趣向を変えて会計情報を元にしてそういったマーケティング戦略をおこなうことが出来るのかという点について考えてみたいと思います。ただ通常は会計情報と言いますと品物を販売した結果を元にして、今月の販売金額はいくらだったとか月末の在庫金額はいくらあるといったように、戦略という言葉に絡めますと戦いが終わった後の整理業務といった感じがあります。ところが実はこの整理業務の中には販売情報だけではなく人件費やら商品を仕入れたり保管する為の費用やらと会社のありとあらゆる情報が含まれている訳で、ある意味宝の山でもあるとも言えるでしょう。
シンプルに考えますと販売に直接関係する経費としましては、先ず広告宣伝費や接待費等が挙げられまして、それでそれらの費用の額と実際の販売金額とを照らし合わせることにより費用対効果をはじき出して、今後のそれらの経費に対する予算を決定するといった内容であれば、別にAIを活用するまでもなくよくおこなわれている手法ではあります。そこで今回は生成AIを使用して各種経費だけでなく在庫金額等の資産やら負債やらも含めたありとあらゆる会計情報を分析項目として取り込み、どういった会計状態であればもっとも販売利益を増やすことが出来るのかというシミュレーションをおこなわせることを考えてみたいと思います。
具体的には月単位での過去データを参照して販売利益が高かった月はいつなのか、そしてその月の各勘定科目の発生状況はどうだったのかを見ていき、何れの勘定科目の動きが販売利益の上昇をもたらせているのかを分析していきます。ただ販売利益に結ぶ付く各種要素には当然ながら時間的な因子も絡んできまして、どういう事かと言いますと例えば今月宣伝広告費を大きく投入したとしても同月にいきなり爆発的に売り上げが上がるとは限りませんし、また商品に対する研究開発費などは販売に影響するのはかなり後になってからという形になるのが普通ではないかと思います。
そこで同月だけの関連のみでなく、各種勘定科目の数年間に渡る推移データを元に関連付けを分析していく作業となりますことから、単純に考えますと勘定科目だけで数百件も存在しており、更に損益部門も加えると同月の関連付きをチェックするだけで膨大なデータ量となりまして、それを年間推移まで考慮するとなりますと、1ヵ月のデータを分析するだけでとんでもない処理時間がかかってしまいそうであります。そこで同処理を短時間でかつ的確におこなう為に生成AIの機能を活用する訳ですが、この処理手順の詳細についてはかなり長くなりそうですので、次回以降で説明させていただければと考えております。
2、外部データを戦略情報として活かす
前項が社内の情報を元にした戦略であったのに対してこの項は社外の情報、具体的には法定金利や為替レートであるとか天気や気温、地震や台風といった天変地異に至るまでありとあらゆる情報をネットの中から拾い上げ販売戦略に活かすべく分析をおこなうという機能となります。とは言いましてもネット内の情報ですから凡そ関係のなさそうな情報の海でありまして、玉石混交どころかそのネットの大海の中から有用な情報をピックアップするとなると藁山の中から針を探すが如くの作業になることが予想されます。
この為必要情報のみをより短時間で取得する為にここでも生成AIの機能を活用する形となるのですが、その処理手順についての説明もまた長くなりそうですので、こちらも次回以降に回せていただけれと考えております。ただこの外部データを用いた販売戦略については、前項とは若干利用方法が異なる形となります。それは前項での分析結果として例えばある種の広告宣伝費を増やしたことが3ヶ月後の販売利益増加に寄与していたとか、ある特定の仕入先さんからの材料調達が増えたことが半年後の販売利益増加に影響を与えてること等が判明した場合に、それらの動きをなぞることにより同じような結果が与えられるのではと期待できます。これに対してこの外部データの場合は仮に法定金利の変動がそのまま増益に繋がったとか、去年は例年に比べて暑い日が続いたので販売も利益も増加したとかそういった結果が出たとしても、では売上を上げる為に金利を調整しようとか天候を司って来年も暑い日にしようとかそういったことは当然ではありますが出来ない訳です。ではこの分析結果をどのように活用するのかと言いますと、最初の方に書かせていただきましたPOSシステムと似たような使い方となりまして、要は来年もまた暑い日が続きそうだから多めに在庫を確保しておこうとか、そういった形の予測制御をおこなう為のものとなります。
ではPOSシステムと何が違うのかと問われますと、今までのPOSシステムでは外部の情報を都度手入力しないといけなかったものが、AI機能を駆使することにより自動でどういった情報でも自由自在に取得できるようになります。この為、使い方次第ではありますが国内や国外の政治情勢といったマクロなものから工業団地内の道路工事状況といったミクロなものに至るまでありとあらゆる情報を利用できますので、前述のように何が有益なものなのかを見極める部分に処理時間を費やす必要はあるにせよ、かなり大きな可能性を秘めた機能であると言えますでしょうか。
今回は戦略情報システムとAIを組み合わせるという今までとは違った趣向の話をさせていただきましたが、ただ具体的にどのようなロジックを用いて分析をおこなうのかという詳細については今回だけでは収まりませんでしたので、次回はより詳細な部分についてを説明させていただければと考えております。
BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
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