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〈タイ業界事情〉業務管理システムに生成AI機能を取り入れることは可能なのか BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
- 2024/11/11
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難波 孝次 氏 Managing Director
業務管理システムに生成AI機能を取り入れることは可能なのか
今回のお話は生成AIについてということで、今までも色々と業務管理システムにおけるAI活用の方法についての話をさせていただきましたが、今まで説明させていただいた内容はAIとは言いましても昔からある学習機能をより複雑にしたものがメインで、現在のAIブームを担っております生成AIについては、ほとんど触れては来ませんでした。その理由はと言いますと、生成AIの代表的な機能としては多量のデータを元にAIにあらかじめ学習をおこなわせておき、与えられたお題でもって画像や音楽それから小説といった創作物を生成するといったものになりまして、あまり業務管理システムの処理内容、具体的には財務諸表を作成したり原価計算をおこなったりといった誰がおこなっても同じ結論が導き出されるような処理にはそぐわないようなイメージがあったからです。
ところが少し視点を変えてみますと、この生成AIの中にも業務管理システムの運用に利用できる機能は存在しておりまして、それはどういったものかと言いますと最近生成AIに関するニュースの中でChat GPTという名称をお聞きになられる機会は多いのではないでしょうか。このChat GPTについてはかなり話題にもなりましたので、実際にお使いになられた方もいらっしゃるのではと思いますが、このChat GPTの機能を業務管理システムに組み込むことにより今まで以上に使い易さを向上させることが出来るのではというお話となります。
それでChat GPTと言いますのはその名の通りチャットつまり会話型の質問箱でございまして、今までもWEBサイトによる質問チャットは色々と存在していたのですが、今までのそれはWEBサイトに書き込まれた様々な問い合わせに対してそのサイトを見た人が各々回答を書き込むという形で実現しておりまして、いわゆる昔からある質問箱をデジタル化しただけのものと言えますでしょうか。これに対してChat GPTはと言うと質問に対してAIが回答を返してくれる形になっております。で、そのメリットはと言いますと先ず回答が即時に返ってくるということと、回答内容の信憑性が高いということになりますでしょうか。今までの形ですと質問サイトの回答者も人間な訳ですから、回答者の方でも時間の都合がありますので即時対応という訳にはいかず、また次々と質問が繰り出されてもそこまで微に入り細を穿ったような対応も出来ないという事態にもなります。あと回答者に他意が無かったとしても回答内容に誤りが含まれているケースや質問内容に即していないようなケースもあったりしまして、質問者の方はそもそも分からないから質問している訳で、その回答内容が果たして正しいものなのかという判断は困難であるという状況に陥ってしまいます。これに対して回答者がAIの場合は当たり前ですが不眠不休で対応出来ますので、夜中であろうが正月であろうが質問すればすぐに回答が返って来ますし、その回答内容にしましてもある程度のリスクは指摘されており100%正しいと断言できないとはいえ、今まで蓄積された膨大なデータを元に論理的な判断をおこなった末のものであり、かなり精度の高い回答が返ってくるようになっております。
そこで、ここからがようやく本題に入る訳ですが、では業務管理システムにこのChat GPTをどのように組み込むのかと言いますと、厳密にはChat GPTそのものを利用するのではなく、システムの中にChat GPTと同様な機能を作成するという形になりまして、以下がその具体的な使用方法となります。
1、入力担当者に対する引継ぎ業務のサポート
これはどういうことかと言いますと、このタイの国では日本に比べますと色々な意味で雇用の流動性が高くせっかく何年もかけて社内業務を覚えた社員が些細なことで辞めてしまうということは日常茶飯事となっております。それで新しい社員を雇う訳ですが、当然ながらまた1から教育をおこなう必要があり、前任の担当者が引継ぎ作業をおこなう形にするとしても、時間的な問題もあり全ての業務を引き継げる訳ではなく、また前任者が突然辞めてしまって引継ぎの作業自体がおこなわれないケースもよくあります。この為新人社員が社内業務を卒なくこなすようになるまでには、通常であればかなりの時間が必要となってくるのですが、そこでこの引継ぎ業務をサポートする為のヘルプデスク機能をAIで作りこむというのがこの内容の趣旨となります。具体的にはシステムのデータベース内には前任者のユーザーIDで入力された各種のデータが全て格納されている訳で、いわばシステム側では前任者が何月何日の何時にシステムに対してどういった処理をおこなったかという情報を全て把握しているということになります。ということはユーザーIDさえ与えてやれば、その人が1日の作業としてどういう処理をおこなわないといけないのか、また月次の作業として月末月初にはどういった処理をおこなわないといけないのかという情報を教えてくれる機能を作りこむことが可能となります。機能としましてはチャット方式で「次は何をやればいい?」と訊かれて答えを返す形でも良いですし、システム側から自動的にメールやライン等で作業内容を通達する形(少々おせっかいな感じもしますが)でも可能となります。
2、管理者に対する引継ぎ業務のサポート
これは前項と似た内容ではあるのですが、この引継ぎ業務については日本からの駐在員さんにも当然ながら当てはまる訳でして、ただ対管理者の場合は承認作業ですとかデータ照会及び管理レポートの出力といった処理が中心になるかとは思いますが、同じような形で前任者の作業内容をそのままトレースすることが簡単におこなえるようになります。
3、イレギュラー業務に対するサポート
こちらの内容はその名の通り通常の取引形態から外れた処理が発生した場合に業務管理システムにどのようにデータを入力すれば良いかを教えてくれる機能となります。例を挙げますといつもはINVOICEに出力をおこなう商品コードは社内で使用している商品コードと同じものを使用されているが、新たに追加された届け先に送る時に限り商品コードを変更しないといけないケースが発生した場合に、関連マスターにはどのように登録をおこなえば良いかといったようなシステム運用に対する質問、他には国内取引に外貨で決済をおこなうケースですとか、外貨取引の際に銀行との為替予約を使用するケースですとか、あとは在庫評価額の算出方法を変更する方法等々、業務管理システムに対するあらゆる質問に対する回答をチャット方式で返す機能となります。こちらはどちらかと言えばシステム会社のサポート作業をシステム内部で補うものとなりまして、通常であればシステム会社のサポート担当に電話若しくはメール等で質問をおこなうところを、システム自体に質問をおこなう形での無人サポートを実現することにより、こちらもメリットとしましては前述のように深夜や休日でも迅速なサポートが可能なことになりますでしょうか。また自社内のデータベースに今までそういったイレギュラー処理に対する入力データが無かったとしても、別のお客様向けのシステムでそういった事例があれば、同事例を紹介出来る等システム会社がおこなうものと同等のサポートが受けられると考えていただいて問題ありません。
ということで今回は生成AIの活用とは言いましてもChat GPTのQA機能に絞った形の説明だけで終わってしまいましたが、機会がございましたら次回は他の機能、例えば画像制作やら音楽制作といったクリエイティブな作業を業務管理システムの運用において、どのように活かすのか(活かすことが出来るのか?)について考えてみたいと思います。
BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
住所:333 Lao Peng Nguan Tower 1, 17th Floor, Unit B1, SoiChaypuang,
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電話:0-2618-8310-1 ファクス:0-2618-8312 Eメール:toki@ksc.th.com
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