タイ閣僚名簿、国王が承認 国防、内務で異例人事

【タイ】セーター首相が提出した閣僚名簿(副大臣含め34人、うち女性5人)が1日、ワチラロンコン国王の承認を受けた。5日に国王の前で就任宣誓式、11日に国会で施政方針演説を行い、セーター内閣が正式に発足する。

 セーター政権は5月14日の議会下院(定数500)総選挙で141議席を獲得し第2党となった旧野党陣営でタクシン元首相派のプアタイ党、旧与党陣営で地方の政治ビジネス閥などの集合体であるプームジャイタイ党(下院71議席)、旧与党陣営でタクシン派と長年対立してきた王党派のパランプラチャーラット党(同40議席)と同党から分離したルワムタイサーンチャート党(同36議席)など11党、下院314議席の連立政権で、閣僚ポストは各党の議席数に応じて割り当てられた。

 プアタイ党はセーター首相が財務相を兼任するほか、プームタム副党首が副首相(席次1位)兼商務相、タイ国営石油会社PTT元会長のパーンフリー副党首が副首相(席次3位)兼外相、スティン副党首が国防相、医師のチョンラナン党首代行が保健相、スダーワン下院議員が観光スポーツ相、プラサート元副運輸相がデジタル経済社会相に就任する。

 スティン氏は初入閣で国防相の重責を担う。タイ軍上層部は王党派の影響下にあり、半ば独立した権力機関として政府の干渉を拒んできた。2006年と2014年にタクシン派の政権をクーデターで倒すなど、過去20年近く、タクシン派と対立してきた。国防相には退役した将官が就くことが多く、軍歴がなく、インドのマガダ大学で哲学博士号を取得したスティン氏の就任は異例。

 下院選前にパランプラチャーラット党からプアタイ党に移籍したソムサック前法相は副首相(席次2位)に、同じく移籍組のスリヤ前工業相は運輸相に就く。スリヤ氏は大手自動車部品メーカー、タイ・サミット・グループのオーナー一族の1人、ソムサック氏は北部スコータイ県の政財界に強い影響力を持つ。2人はタクシン政権(2001〜2006年)でも閣僚を務めた。

 プームジャイタイ党は党首で地場ゼネコン(総合建設会社)大手シノタイ・エンジニアリング・アンド・コンストラクションの事実上のオーナーであるアヌティン前副首相兼保健相が副首相(席次4位)兼内相、ピパット前観光スポーツ相が労相、パランプラチャーラット党はプラウィット党首(元陸軍司令官)の弟のパチャラワート元警察長官が副首相(席次5位)兼天然資源環境相、ヘロイン密輸でオーストラリアで4年間服役した過去があるタマナット元副農業協同組合相(退役陸軍大尉)が農業協同組合相、ルワムタイサーンチャート党はプラユット前首相の秘書官長を務めたピーラパン党首が副首相(席次6位)兼エネルギー相、ピムパトラー下院議員が工業相に就任する。各県知事を派遣するなど地方行政を統括する内務省は選挙対策で最重要ポストとされ、従来、連立政権の第1党が抑えてきた。連立第2党から内相を出すのは異例。

 タクシン派と王党派は過去20年にわたり抗争を繰り広げたが、プアタイ党は事実上の党首で2008年から国外亡命生活を送るタクシン元首相の帰国実現、王党派は王室を旗印とする既得権益層に挑戦して急激に台頭した革新系ガウクライ党(ムーブフォワード党、下院151議席)による政権奪取の阻止を目的に、手を組んだ。ガウクライ党は下院第1党となりながら、野党側に追いやられた。

 

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